「あなたとわたし」
あなたとわたし。
妖怪と人間。
私たちは恋に落ちた。
妖怪と人間のハーフの彼と人間である私。
近いようで遠い距離。
会いたくても会えないふたり。
こんなにも辛いものがあるなんて。
みんなと同じように好きな人を好きなだけなのに。
私たちは人間界と妖怪界の狭間でしか会えない。
いつかこっちにおいでよ。
街を紹介してあげる。
だから、また夕方のこの時間に。
彼との約束。
それは永遠に交わることの無い世界で交わされる。
あなたとわたし。
いつかそばにいられる日が来ますように。
「柔らかい雨」
雨なんて嫌いだ。
晴れてる方がいいに決まってる。
雨が好きなんていう人いるのか?
雨の日は学校に行く気がなくなる。
いつも通り、傘をさして学校に僕は向かいながらそう思った。
そして、いつも通り授業を受け、帰ろうとした時。
僕が片思いをしている彼女が下駄箱で止まっていた。
「どうしたの?」と声をかけると
「傘忘れちゃって」と彼女は言った。
「家まで送ろうか?」と僕は勇気を出した。
「いいの?近いから弱くなったら走ろうと思ってたんだけど。」
そういう彼女に僕は
「今風邪ひいたら大変だし、良かったら。」
「ありがとう。」
という彼女。僕は少し雨に感謝した。
いつも、痛く感じていた雨が少し柔らかく感じた。
「一筋の光」
僕の真っ暗な世界に一筋の光が刺した。
僕は親から悪魔と呼ばれた。
僕に話しかける人なんていなかった。
もう、声の出し方も忘れた。
笑顔の仕方も、涙の流し方も。
全部忘れた。
でも、君に出会って、好きになった。
僕に話しかけないでと伝えても君は話しかけてくれた。
僕は暗闇の中をずっとさまよっていた。
でも、君に出会った時一筋の光が刺した。
その光に僕は救われた。
こんな僕だけど君のそばにいたい。
いつか君の光となれるように。
「哀愁を誘う」
あなたに会いたい
そう願うことはダメなことですか?
秋になると悲しみに襲われた。
あなたと出会った季節だから。
そして、別れた季節でもあるから。
何でこんなにも、もの寂しい気持ちになるの。
もう会えないってわかってる。
あなたは天国にいるから。
でも、会いたいの。
まだ忘れられないから。
悲しみに襲われても、あなたを忘れたくない自分がいる。
だって、私を愛してくれた人だから。
あなたは言ったよね、僕を忘れないでって。
だから、忘れないよ。
「鏡の中の自分」
鏡なんて嫌いだ。
自分の顔を見る度にそう思った。
みんなみたいにもっと可愛くなりたい。
なんで自分はってずっと思ってた。
でも、彼に会ってからは変わった。
自分の顔を好きだって言ってくれた。
なんで私なのって聞くと彼は
「可愛くて、優しくて、こんなにも愛おしいのは君だけ。」
って答えてくれた。
自分の顔は未だに好きになれないけど。
彼のおかげで少しは好きになれそう。