星も見えなくて街の光が滲む
分からなければ何も妬まなくて済んだ。
自分は目を掛けられることもなく
誰の心にも止まらなかったということ。
夜の闇に落ちていく。眠っているような眠っていないような夜だった。
もう一人の寝息だけ鮮やかで。
それ以外の音が消えて光も消える。
もう大切なものなどない。降り落ちる空気の澱が滲む奥底で、すべてが終わった夜に沈む。
空想が進む度に書き続け、いつしか物語になった。
誰かに話してみたい。だけど否定されたり笑われたら怖い。
いつしか空想は私の世界になった。過酷な世界だった生を感じて、友達も恋人もいた。
ここから出られなくなればいいのに。
その度に「お前は来るな」と言う男がいる。
「あなたが望めば全てが叶うんです」と言うやつもいる。
「そんなに簡単じゃないよ」と友も言った。
違うんです。
離れたくないんじゃなくて。
現実を見たくないのだ。
いつだって皆味方だった。
実家の父がパチンコに行く際に強風により転倒したらしい。もう足元もおぼつかないのにパチンコにだけは行く。
女の子に野球グローブだけ与え「せっかく遊んでやったのに」と言う父だった。
「どれだけ金をかけたと思っている」「キチガイや」「金のかかるやつや」
心を抉ることしか言わなかった。苛められ不登校になり、引きこもりのニートだったから仕方ないけど
他人ではないのが苦しい。
荒れた呼吸に釣られて揺れる裸体は、まるで白い砂浜そのもので。目は離せないのに二度と触れてはいけない宗教画のようだった。
汗ばんでいた肌はふわりと花の香りが匂い立つ。
名前を呼ぶと、にこりと微笑を浮かべた彼女に震える。強がる少年の部分を一気に踏破して、1人の男にしてしまう蠱惑的な美貌。むしゃぶりつきたくなるほどの甘やかな無垢。
1枚脱いでひと晩過ごしただけでどうしてここまで君は変わるのか。