冷たい肌が心地よくて、はむように唇を這わす。
自分が気持ちよくなりたいだけなのかもしれない。
罪深いな。誘う腕に呼ばれて身体を小さく折り畳んでいくと、彼女は苦しげに一呼吸鳴いた。
ゆっくりと押し進めて、登り詰めているうちに獣に成り下がる。自分は受け入れてくれる彼女に甘えているだけか。爪を立てて耐える彼女に噛みついて。果実のようだと表現したやつはどこを例えたんだ。こんなにも狂おしい。
異端を廃する。集団で生きる人間に当たり前に備わった能力なのだろう。
私は侮蔑を込めて2年続いた友人を見ていた。
またか。
利用し様々な言い訳をして優位に立ち過ちを認めず見下してくる人間をまた「もう要らない」と切り捨てる。必要のない人間だと判断するともう切り替えは早い。
異端は私なのだろう。
今は孤独ではあるが心は穏やかだ。
多くの人が「頑張れ」と言うなか、
「辛いならやめろ」と諦めることを提案してくれた。
もういいのだ。
心がほどけて楽になった。
初めてその小説を読んだ日のことを今でも覚えている。
狂おしいぐらいのキャラクター達の躍動感と鮮やかに動く感情という名の激情。息もつかせぬ歴史ロマンだった。
動乱の時代に魅せられて、次へ次へとページをめくる指が止まらない。
現実を押し流して、こちらの心と時間をすべて掻っ攫っていく小説があった。気付くと夜中をとうに過ぎて午前4時。それでもエンディングまで止まれない。
英国の冷たい石畳、乾燥した地中海の空、オリエントの風、烟るような深い古の森の息吹。
こんなのを書きたい!!
20年経った今でも読み返すし、嫁入り道具でもありました。
榛名先生。あなた様が目標です。
私の親は今で言う毒親だった。
もし親になれるのなら優しいお母さんになりたい。
反面教師にしてみせる。
現在。その意思に反して、子供を叱りつけ罵っては言わなくていい事まで口にしてしまい、後悔する毎日を送っている。
ごめんね、こんなお母さんで。
寝付いた後の顔は天使のよう。丸い頬に小さいお口。
寝起きの伸びをするお顔は赤ちゃんのときのまんま。
だっこをせがまれて抱き上げるといい匂いがするんだ。
現実は昔思い描いた以上に過酷で色鮮やかだった。なんて可愛いんだろう。