暗がりの中で、何を思うのか
ただ、フカフカの布団に身体がふんわりと沈みこむと
あまりの気持ちよさと、襖のすき間から漏れる明かりにどことなく秘密基地のような雰囲気もある。
こんなに暗いのに、懐かしさと、ホッと安心できるような感覚は一体なぜだろう。
時間になっても戻らない幼い私を探して、押入れの襖を開けた家族は「ここに潜り込んだのか」と私を抱き下ろしてくれた。
いくつものの布団を仕舞い込んでる押入れは、いつだって私の大好きな場所だった。
大人の身体になった今も時々、小さな子どもの身体に戻れたなら、あの秘密基地に行きたい。
恋人のいる人はもうすでに幸せであるのに、もっともっと欲しいと、相手の愛を感じたいとねだる
まだ実感が湧かないのかもしれない
でも愛の言葉を交わせるのは、とても幸せなこと。
初心に戻って、もう一度自分の気持ちを見つめ直して
一緒にいるだけでも十分
自分だけじゃない、相手からも愛されている
気付いて、あなたは幸せの真っ只中にいるんだよ。
ほとんど会えていなくても「友達」だと胸張って言える人は、両手合わせても余裕に足りるほどだ。
昔は今よりも多かったけれど、生活環境の変化によりだんだんと疎遠になっていってる人もいるが、それを惜しいと思わなくなった。
それもまた消えゆく縁なのだろうと思っているからだ。大事なのは、相手が幸せであればそれでいい。
会わなくなったからといって、あなたと出会えたことは、何一つ無駄ではない。
一緒にいて楽しい時間、たくさんの思い出が私達の間で共有していた。それでいい。
これから先、もしまた会えることがあったら、久しぶりという感覚はせず、まるで昨日のことのように話も盛り上がれるだろう。それも楽しみにしている。
きっと何歳になっても、たとえおばあちゃんになっても、新たな出会いが待ち受けていて、気の合う友達ができるだろう。
将来もそうなるように、私は私の内面を磨かなくては。新しい友達と出会うために。
「あぁぁーーー!待って、行かないでぇぇぇ!!!」
手を伸ばしながら、思わず叫びたくなったことはもう数えきれない。
バスである。電車から急いでも間に合わず行ってしまったのを見送ることも数知れずある。
また買い物に夢中になってたりトイレに寄ってたりして、時間配分にミスってしまったこともある。
電車は乗り遅れたとしても、最悪 各駅停車でもいいし、数十分待てば次も来るのでダメージは少なく済むのだが…
地方の田舎寄りでの路線バスは1時間に1本しかない。バスこそが無情だなと思う。
いや、一番悪いのは余裕をもたない私です、はい。
すみません。バスは何も悪くはございません…
それでも言いたくなる、行かないでぇえぇぇ!!!
どこまでも続く青空には、果てしなく遠い遠い国にも繋がっているだろう。
あれから、もう10年は経っただろうか。
もうすぐ、姉がワーホリから帰国する予定だった。
あと少しのところで。
それでも、厳しい夏の暑さには乗り越えられなかった。
祖父が入退院を繰り返すようになって、半年とちょっと。その間に、身体はすっかり弱っていってしまったのだろう。
生前は、独立して自分だけの城、小さな工場から立ち上げて家族を養ってきた。祖父はいつも無口だったけれど、0から1を作れる職人気質の立派な人だった。
ワーホリには後悔はないとは思うけれど、家族のうち一人だけ お葬式にも参列できなかったこと、それだけは今でも心残りだったのかもしれない。
それでも、青空は繋がっているから。きっと祖父も姉の気持ちが伝わっているといい。
その分、祖母には祖父の分までたくさん会って、後悔のないように、束の間のひとときも全て思い出に刻み込んでおきたい。
全ての出来事には、必ず意味があるのだから。