空は広い
雨が降っていようが
雷が鳴っていようが
上を見れば一面に広がっている
まあ結局
一番好きなのは
晴れた日の
雲もないような
青く澄んだ空なんだけど
お題:どこまでも続く青い空
やわらかな光が僕を照らし、それにつられて目が覚めた。
全く知らない場所だ。具体的には多分雲の上。寝てた所がどう見ても雲だし。
このやわらかい光ってアレだろうか。こう、死んだ人を包み込む神秘的なアレコレなんだろうか。
周りが全体的に眩しいのに全然不快じゃないのが凄い。全然僕の置かれた状況が分からないからもう一眠りしようか。
そう思ってパジャマを軽く整えて寝ようとした所に、ぽすぽすとこちらに向かってくる音がした。
「あ、やっぱりいる!やべぇやべぇやべえって!」
見ると、白い布を下半身だけに巻いた細マッチョなイケメンがこっちに走って来ている。
「ちょ、ごめん、ここで寝る前に帰って!君はまだ早いから!」
ゆっさゆっさと身体を揺らされて、流石に止めてほしくて蹴りを入れる。
綺麗に鳩尾に入って、彼はゔっ、と唸って崩れ落ちた。
「あと5分、あと5分でいいから……」
「い、いや寝てる場合じゃないんだよ君……あーもう仕方ない!」
再び寝ようとした僕の首と足首を持ち、イケメンは僕をぶん投げた。
さっきまで僕が寝ていた雲のような地面をすり抜け、僕は落下していく。
「うわぁぁぁぁ!?」
「今回は本当にごめん!!今のままならまたこっち来れるから頑張って!!」
「いや状況が読めないんだけどぉぉぉ!!」
不快な光で目を覚ます。知らない天井の光は、さっきまで感じていたやわらかい光と似ても似つかない強烈な物だった。
どうも僕は寝てる間に外出し、車に轢かれたらしい。幸い怪我は軽症で済んだ。車の運転手曰く超綺麗な受身を取ったそうで。夢遊病の症状だろうと言われた。
つまりあの雲の上での出来事は臨死体験ということか。その割には神様っぽいイケメンはかなり若い様に見えた。新人さんだったんだろうか。
とりあえず、睡眠外来へ相談に行こうと思った。
お題:やわらかな光
眩しいんだ
眩しいんだよ
頼むから俺を1人にしてくれ
笑いかけないでくれ
そんなきらきら照らされたら
お前を信じたくなっちまうだろうが
裏切られた時に
今度こそ深く沈んじまうだろうが
お題:きらめき
「いい加減に直せよな、お前」
先を歩く友人に、期待はせずに言ってみる。
くるりと振り返る友人は、いつも通りの清々しい笑みだった。どういう神経で笑ってるんだろうか。
「何を?」
「危険に自分から突っ込むのを、だ。さっきのも肝が冷えたわ」
「何か変な事あったっけ?」
「ちびっ子助けるのに道路に飛び出しただろ!ああいう危なっかしいことするなって言ってんだよ!」
いつもそうだ。猫を助けるために折れそうな木に昇ったり、溺れてるヤツを助けるために深い河に飛び込んだり、命を張って誰かを助けに行く。
今回だって、トラックに轢かれそうな子供を助けて、自分が轢かれかけたのにヘラヘラ笑ってやがる。
止めに入っても、今までそれが上手くいった試しも無い。止めて、すり抜けられて、無傷で誰かを助けて、ヘラヘラ笑って戻ってくる。
自分の命を何とも思っていないのか、と思ってしまう。
「でも、助かってるじゃない」
「次は無いかも知れねぇだろ、なんでそんな自分の命が軽いんだよお前……」
「その時はその時。あと、自分の命が軽い、なんて思ったことは無いよ」
「……余計わかんねぇ、付き合い長いけどお前の事まだ本当にわかんねぇ」
でっかい溜息と一緒に吐き捨てると、友人は心外そうな顔になった。
「じゃあ、なんでそんな私に付き合ってるの?」
「危なっかしいからだ、毎度止めても止まんねぇけど」
「じゃあ、そういう事なんだと思う」
「はぁ?」
「キミが私を止められないなら、多分そういうことなんだよ」
クスクス笑いながら近づいてくる。残り1歩、という所で、友人は俺を見上げた。
「私、運命って大好きなんだ」
「……ああ、そうかよ」
俺の返答に満足したのか、友人は「分かればよろしい」とだけ言って抱き着いてきた。
女子の、というか友人の体格の小ささに驚きつつ、改めて一生コイツに振り回される覚悟を決めた。
お題:最初から決まってた
くだらない人生だ
つまらない人生だ
面白味のない、退屈な人生だ
そう思えるのが一番いい
自分の人生をよく見てるヤツがそう言える
それが嫌なのをわかってるヤツがそう言うんだろう
そうじゃなけりゃ
つまらないのが楽しいヤツが言うんだろう
変える勇者か
悟る賢者か
アンタはどうだい?
お題:つまらないことでも