「程よく優越感、劣等感を感じられる」と、
『異世界転生モノ』の漫画を
いくつか友人から勧められた。
現世では大して活躍できなかった主人公が
異世界では活躍するという話である。
読後、自分が異世界に転生した場合
どんな風だろうと想像してみた。
まず、
自分の人生は誘惑に負けた人生だった。
小学生の頃からゲームばかりしていた。
社会人になってようやく
勉強しておけば良かったという始末である。
いつも後悔ばかりで過去の事に
執着し過ぎて失敗ばかりしてきた。
異世界転生の主人公は
どうやら皆、前世の記憶を持ったまま
次の人生を歩めるらしい。
この時点でうまくやっていく自信がない。
どんなに異世界で成功しても
前世の失敗がしつこくまとわりついて
ネガティブになる自信がある。
異世界に転生するには
よほどの図太さがないと
やっていけないようだ。
いやまて…
異世界でゲームやギャンブル以上の
娯楽があったらどうする?
あらがえるだろうか?
どこへ行ってもやっていく自信がない。
どこへ行っても怠惰に過ごす自信はある。
『時間を操れる能力』で何度もやり直す。
めんどくさい…
『予知能力』を得る。
自分が満足するルートを見つけるまで
見続ける。めんどくさい…
あれやこれやの都合のよい才能と
スキルを詰め込んでみて、
「これならやっていけそうだ」
と、友人に話したところ
「それ、もはや別人やろ」
と、ツッコまれた。
男はこれまでずっと考えてきた。
どうすれば幸せになれるのか。
70歳を過ぎてそれを悟った。
気づくのに50年以上かかった。
そして、最近悟った。
それは本屋で簡単に見つかることに。
男は『読み書き』を知らなかった。
【ある国では仙人】
【ある国では可哀想な老人】より
2010年に君と最後に会った日、
オレは失恋のショックで
自暴自棄になっていた。
ヤケクソで「仮想通貨」とかいう
わけのわからないモノに100万円投資した。
70万ビットコイン買っていた。
オレは残りの金でコールドスリープに入った。
2024年の今日、
コールドスリープから目覚めたオレは
まず、ニュース記事を漁った。
「仮想通貨」「ビットコイン」という単語をよく目にして思い出した。
当時の70万ビットコインが今いくらになっているのか気になった。
調べると、心臓が止まりそうになった。
「なんでも手に入る」
そんな言葉が頭から離れなかった。
震えながら口座を確認した。
しかし、
口座残高には1ビットコインも入っていなかった。
夢でも見ていたのか。
過去のニュースを再度漁っていると、
「DDD仮想通貨取引所、
ビットコイン流出事件」
というタイトルが目にとまった。
オレはショックで倒れた。
あなたがいたから
書くことを続けられた。
ありがとう。
「これからは
ディープラーニングの時代です。
これにより明るい未来がやってくるでしょう」
と、ある有名な科学者が言った。
「なるほど」と私は思った。
流行に敏感な私はすぐに取り組んだ。
思いっきり走った。
走りまくった。
すごく汗をかいた。
「ディープランニングか、なかなか良いじゃないか。私の未来はきっと明るいぞ」
『ディープラーニング』
コンピューターが自動で大量のデータを解析して、データの特徴を抽出する技術のこと。