先月、
遠方にいる母の誕生日祝にと、
ネット通販で山田養蜂場の
保湿クリームを買ってあげた。
母に「あのクリームどうだった?」
と尋ねたところ。
「うん。おいしかったよ」
と返ってきた。
荘厳な寺院らしき
建物の中にいる夢を見た。
いかにも僧侶な風貌をした若者が
中を案内してくれた。
寺院の奥には
凄く天井の高い広場があって、
ローマンコンクリートを思わせる
白く大きな支柱が何本かあった。
それはまるで大木のようで、
あまりにもアジア系の寺院には
不釣り合いに思えた。
中央の台座にはお爺さんが座っていた。
「あそこにおられるのが、
齢300歳を超える我らが教祖様で
あられます」
と、若い僧侶は自慢げに語る。
「歳をとった方は貴重な存在なのです。
なぜなら知識の宝庫ですから」
若い僧侶が
「なんでも聞いてみなよ」
という感じで親指を上げた。
僧侶らしからぬチャラ男っぽさが
少し私をイラッとさせる。
教祖様は穏やかな顔で
「なんでも聞いてみなよ」
と言ってきた。
私は特に聞きたいことが無かった。
しかし、何も聞かないことは
失礼だと思い、思案した。
どうしても思いつかなくて焦った私。
そうだ!
と思いついたように、
私はポケットからスマホを取り出した。
「300歳超えた人にする質問」
と私はAIに質問した。
教祖様をチラリと見ると、
顔面蒼白でガタガタ震えている。
あっ…やっちまったな…
と、私は思った。
薄れゆく夢の中で、
教祖様が座っていた台座に
私のスマホがチョコンと
置かれているシーンが映る。
今まで神のように崇められていた
寺院内の高齢者が若い僧侶から
軽蔑の眼差しをうけているシーンに
切り替わる。
申し訳ないことをした。
小林製薬が安楽死の薬を発売したなら。
『飲んですぐ逝ける。
小林製薬のピンコロン。』
になると思う。
私は浅間 史矢(あさま しや)
25歳の才能溢れる美男子である。
超有名大学を出て、
晴れて今年から国家公務員として
働くことになった。
詳しくは言えないのだか、
国家の中枢を担う重要役職である。
私の眼はキラキラして、
胸はワクワクではち切れそうだ。
しかし、
半年ほど勤めて萎えてしまった。
政治家連中は汚職まみれ。
警察組織も権力を盾に好き放題。
その後始末(隠蔽工作)は
いつも私の役職の仕事である。
「チクショー!」と、怒鳴る。
「私がしたかった仕事は
こんなことじゃない!」
と酒をあおるように飲んだ。
そしてつぶやく、
「自分が汚せる場所がないじゃないか!」
そう、
私はもっと権力を利用して
甘い蜜を吸いたかったのだ。
ようやく好き放題できると思ったのに、
すでに汚せる所が残っていなかった。
「ああ…人間はなんて醜いんだ…」
ヨット乗りのオレ。
とうとう彼女に告白する決意をした。
まずは美容院というお洒落な場所へ行った。
「カッコよくして下さい」
「善処します」
店員が若い女性だったので、
思い切って相談してみる。
「あ〜それならプレゼントは
マストですよね」
と言われた。
なるほど、
今はプレゼントはマストなんだな。
オレは彼女にマスト(ヨットの一部)を
プレゼントした。