まさる

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6/12/2025, 1:29:47 PM

「海外で飛行機事故があった」
乗客乗員全て死亡という悲惨な事故である。

ふと、小学生の頃を思い出す。
「飛行機が墜落する確率ってね。
宝くじ当たるより確率低いんだよ」
従兄弟が自慢気に言っていた。

そうだろうか?
と思ったのは中学生の頃である。

きっかけは、
同じく飛行機墜落のニュースを
目にした時である。
違いは事故ではなく、
操縦士の自殺行為ということだった。

その時、疑問を感じた。
従兄弟の言っていた墜落の確率とは
「飛行機の性能自体を考慮した場合の
確率なのではないか?」

もし操縦士の精神状態が悪かったら?
テロを目論む乗客がいたら?
整備士が仕事をサボっていたら?
天候が悪かったら?
これらを考慮したら
確率は上がるのではないかと思った。

それ以来、
私は飛行機が怖くなった。

ある教師が言っていた。
「飛行機ってね。
実はなんで飛ぶか分かってないんだよね。なんで飛ぶのか証明できればノーベル賞ものだよ」

私はこの世の理不尽さに恐怖した。

6/6/2025, 12:43:21 AM

僕のクラスには
「一を聞いて十を知る」
神童と呼ばれる子がいる。
まわりの大人からはいつも
「スゴイ子だ!将来が楽しみだ!」
と、期待と羨望の眼差しを向けられている。

そんな神童といつも一緒にいる子がいた。
「なんであいつが?」
と、僕も含めて
クラスのみんなは不思議にそう思っていた。

当初、神童が楽しそうにその子と話すのを見ていた同級生は
「さぞ面白い話をするヤツなんだろう」
と、期待してその子に話しかけた。
しかし、
特に面白い話をするわけでもなく、
むしろ気味悪がっていった。

その子は勉強も運動もできなかった。
いつも気だるそうで暗い顔をしていた。
「神童が心の広い人格者だった」
ということでまわりは納得することにした。

ある日、その子が自殺してしまった。

みんなビックリしていた。
近寄りがたい子ではあったけれど、
イジメられていた訳でも、
家庭環境が悪かった訳でもなかった。

クラス一同、通夜に参列した。
僕はトイレに寄ってから帰るところだった。
途中、遺体が安置された棺桶をじっと一人見つめる人影があった。
神童である。

「もっと君と話がしたかった」
神童は悲しそうにつぶやいた。
「自分は一を聞いて十を知る神童なんて呼ばれてるけど、君は一を聞いて千を知るひとだったからな…」

子供の頃の僕は
神童が何を言っているのか分からなかった。今も分かったわけではないけれど、
「なんとなく引っかかる」
ような感覚をもつようになった。

「なんとなく引っかかる」
とは、つまり疑問をもつようになったことだと思う。

人一倍に勉強や運動ができるから天才なのだろうか?
あの自殺した子は本当に勉強も運動も苦手だったのだろうか?
天才の中の天才はどんな存在なのだろう?
仮にこの世の全てを理解した人間がいたとして、その人間は人間としてどういった行動をとるのか?
まだ成熟していない子供の心と精神で全てを悟るとどうなるのか?

凡人の僕には分からない。
しかし、
同じ人間でも見ている世界が違うことを知った。
「知らぬが仏」
とはよく言ったものだ。

5/16/2025, 12:48:10 AM

光り輝け、暗闇で

あるマンガで、
「地球」という生物にとって都合の良い環境が生まれる可能性についての表現が面白かった。
『自分(私)を知らない他人が目隠しをしてパソコンの前で自分(私)の経歴をひとつも間違いなく画面に打ち込める』
くらいの確率らしい。

地球という星に生まれる。

平和な時代に生まれる。

五体満足、健康優良児として生まれる。

家庭環境に恵まれたところで育つ。

コレだけで奇跡中の奇跡である。
かなり異常といってもいい。
しかし、
家庭環境に恵まれたところで育つ。

社会を知った時、自分は不細工な顔立ちだということを知る。

コレだけで自分の奇跡の人生を否定する人が多い。耐えられずに命を絶つ人もいる。

では、
地球という星に生まれる。

平和な時代に生まれる。

五体満足、健康優良児として生まれる。

家庭環境に恵まれたところで育つ。

周りが羨む美人である。

頭が良くて聡明。

金持ちになる。

コレで満足するだろうか?

ちなみに「満足」という感情は欠落しているモノを自分のチカラで補ったときに得られる優越感である。

4/29/2025, 12:27:24 PM

若い頃は自分の幸せこそ第一だと思った。
その幸せとは金儲けだと信じていた。
金さえあれば見下されない。
金さえあれば自分が見下す側でいられる。

自分を見下してくる嫌いなヤツを
「どうやったら酷い目にあわせられるか」
ということばかり考えていた。
いつもイライラしていた。

いつしか自分が嫌う人間になっていた。
自分の最大の敵は自分だったと、
すべてを失ってから悟る。
そして、
人生の大切な時間をどうでもいい
人間への憎悪に使っていたことに後悔した。

愚者になって気づいた。
大切な人の幸せこそ第一であったと。
大切な人の笑顔こそ私の幸せだったのだと。

大切な人。
それは自分を支えてくれていた存在。
私は感謝することを忘れていた。

それに気づいたとき。
イライラがなくなっていた。
残り少ない自分の時間。
もうなにも出来ない身体になったけれど、
大切な人を思い、懺悔と感謝を伝えたい。

あなたに大切な人がいることに
気づいて欲しい。
あなたのかけがえのない時間を
大切な人のために使うことが
幸せだと信じて欲しい。

4/28/2025, 1:21:13 AM

「ひょんなことから」
マンガやアニメでよく聞く言葉。
物事の経緯をいちいち説明しなくてよい魔法の言葉である。

しかし、物語は経過を楽しむモノだから、
使い過ぎると面白味がなくなる。

「ひょんなことから世界は平和になった」
すっごい犠牲者だしといて
この一言で片付けるのは残酷である。

「ひょんなことから結婚した」
青春恋愛モノがこの一言で始まれば
いきなりミッションクリアである。
数多の負けヒロインは
「ひょんなこと」で負けたのである。
炎上すると思う。

「ひょんなことから異世界転生した」
どんなひょんあったら出来るのか
教えて欲しい。

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