※『たそがれる』とは
「日が暮れる」
「物事が衰える様子」の意味。
「物思いにふける」という意味はなく、
誤用だが俗語として許容されつつある。
たそがれて、宇宙を見上げる。
宇宙で生活する人類を想像した。
アニメや映画で観たシーンを素材に
無重力の中を飛び回る人々を頭の中で
創り上げる。
そこで、あることに気づく。
「無重力なら女性は
ブラジャーを付けなくても問題ない」
おっぱいがたそがれることはなくなる。
つまり、将来的に
男女関係なくトップレスになる時代がくる。
「生きねば…」
そう思った。中二の秋である。
今日は給食のデザートに
サクランボが出た。
友達の山口君が
「サクランボの茎を口の中で
結べる人はキスが上手いらしい」
と、豆知識を披露した。
そこから話がクラス中に広まり、
みんなモゴモゴしだした。
先生もつられてやっていたけれど、
給食が終わらないことを危惧して
食事中は控えるようにと言った。
二人の生徒が上手く結べて
その二人はヒーローになった。
僕は悔しくて、
下校中でもモゴモゴした。
しばらくして舌がつった。
同時に茎を飲み込んでしまった。
翌朝、
静寂に包まれた部屋で
自分の排泄物と共に
『結ばれた茎』が出てきた。
コレは自慢出来るのか
しばらく考えたのだが、
僕は水に流した。
食後にソファーに寝転ぶ。
ふと、
目の前のカレンダーに目が止まる。
A2サイズくらいの大きなカレンダーには
ところどころに書き込みが見られる。
「9月は30日まであるんだなー」
と気づく。
30という数字をボンヤリ眺めていると、
「そういえば、私は今年で30歳だな」
と思う。
カレンダーだと、
1ヶ月が終わるのか…
そう考えると
「人生なんて3ヶ月くらいしかないんだな」
と、意味なく哀愁のようなものを感じた。
好きな女の子と
向かい合わせに座る。
俺は今日、告白する。
「愛してる」とか
「ずっと好きでした」とか
そんなありきたりな言葉で
想いを伝えたくなかった。
そんな売れない歌手の思考で、
俺は想いに英語を交えた。
ヒネリがないと思い、
スワヒリ語とヘブライ語も混ぜた。
なんなら
ミステリーサークルのイラストも添えた。
俺の想いの詰まった手紙を
目の前で彼女に渡した。
彼女は頬を赤らめて読んでいたのだが、
最後にはその色は青く変わった。
俺はふられた。
どうやら、
最後のミステリーサークルの意味が
「近づくなブス」
という意味だったらしいことに
後で気づいた。
宇宙人の彼女には
ストレートに響いたようだ。
俺が世界初の
ミステリーサークル翻訳家を目指した
きっかけである。
I wish I were a bird.
と、英語でカッコつけた。
「鳥のように自由に空を飛べたらな〜」
と、特に不遇なわけでもないのに
思春期の頃は空を見上げた。
さて、俺は今、
鳥になっているわけだが、
まさかニワトリになるとは
思いもしなかった。
目に見えるのは地面ばかりだ。
I wish I were a bird.
明日はカラアゲにされているかもしれない。