若い頃は自分の幸せこそ第一だと思った。
その幸せとは金儲けだと信じていた。
金さえあれば見下されない。
金さえあれば自分が見下す側でいられる。
自分を見下してくる嫌いなヤツを
「どうやったら酷い目にあわせられるか」
ということばかり考えていた。
いつもイライラしていた。
いつしか自分が嫌う人間になっていた。
自分の最大の敵は自分だったと、
すべてを失ってから悟る。
そして、
人生の大切な時間をどうでもいい
人間への憎悪に使っていたことに後悔した。
愚者になって気づいた。
大切な人の幸せこそ第一であったと。
大切な人の笑顔こそ私の幸せだったのだと。
大切な人。
それは自分を支えてくれていた存在。
私は感謝することを忘れていた。
それに気づいたとき。
イライラがなくなっていた。
残り少ない自分の時間。
もうなにも出来ない身体になったけれど、
大切な人を思い、懺悔と感謝を伝えたい。
あなたに大切な人がいることに
気づいて欲しい。
あなたのかけがえのない時間を
大切な人のために使うことが
幸せだと信じて欲しい。
「ひょんなことから」
マンガやアニメでよく聞く言葉。
物事の経緯をいちいち説明しなくてよい魔法の言葉である。
しかし、物語は経過を楽しむモノだから、
使い過ぎると面白味がなくなる。
「ひょんなことから世界は平和になった」
すっごい犠牲者だしといて
この一言で片付けるのは残酷である。
「ひょんなことから結婚した」
青春恋愛モノがこの一言で始まれば
いきなりミッションクリアである。
数多の負けヒロインは
「ひょんなこと」で負けたのである。
炎上すると思う。
「ひょんなことから異世界転生した」
どんなひょんあったら出来るのか
教えて欲しい。
『生徒に「顔を見せて欲しい」
と言った中学校教師、戒告処分』
(◯◯新聞朝刊にて)
クラスの新入生自己紹介の場で
中学校教師が生徒に対して
「マスクを外して
顔を見せてくれないかな?」
と強要したとして、
この教師を戒告処分したことを
学校側が報じた。
生徒が親に相談したことから
発覚した。
学校側は
「配慮に欠けた行為だった」
と謝罪して、
「今後はこのような事が
無いように努める」とした。
問題の担任教師は
「強要はしていない。
早く生徒の顔と名前を覚えたくて
そうした行動をとった」
と語った。
2009年の今頃
「これからは、ユータブの時代だ」
と、バイト先の先輩が自慢気に言った。
今思えば、
それユーチューブじゃね?
春風とともに
『人生はやり直せないクソゲーである』
このゲームは
スタート地点も残機も運だのみだ。
何ステージあるかも分からない。
共通して最初は皆、
完璧なスコアを目指す。
「自分こそが最高なクリアをしてみせる」
と、意気込む。
しかし、
取り返しのつかない事をしてしまい、
投げやりになる人が多い。
「あの時、あそこの隠しステージに行けばこの先楽だったのに…」
「あそこで隠し武器手に入れてれば…」
「あそこで焦らず、もっとレベル上げていれば楽だったのに…」
と、後悔する。
それでも、
後悔してる間もゲームは進んでいく。
そして後悔ばかりしていると、
また大切なアイテムを取りこぼす。
自分が来たかったステージとは違うと、
始めの頃と比べて
ヤル気がどんどんなくなる。
どんどん適当になる。
ふと、隣の人の画面を見る。
同い年のその人は
とても楽しそうにゲームをしていた。
しかし、
アイテムを取りこぼしてばかりで、
お世辞にも上手くはない。
スコアも低い。
これではランキング圏外だ。
ふと、考える。
「誰から評価して欲しかったのだろう」
「どこにクリアがあるのだろう」
「そもそも、このゲームに攻略法などあるのか?」
悩んでいても自分のゲームは進む。
すでに自分のゲームには興味がなくなってしまった。ただ残機だけに注意して危ないステージを避けるだけの作業になっている。
同い年の人のゲームが
突然終わった。
その人の最後の表情を見て気づく。
あぁ…楽しめば良かったのか…
小さな幸せ