まさる

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8/8/2025, 2:34:00 AM

『心の羅針盤』

変えられない過去。
変えられない自分。
嫌な思い出。嫌なヤツ。
イライラ、モヤモヤする。

ふと、
「今」という二度とこない
かけがえのない時間を
「そんなことに使っているのか」
と、ハッとなる。

変えられない過去よりも
変えられる今。

変えられない自分よりも
今を変えられる自分。

嫌な思い出の後悔よりも
良い思い出の充実感。

嫌なヤツよりも
感謝したいあの人の幸せ。

自分にとって大切な時間なら
大切な物事に使いたい。
ついつい忘れてしまう。

8/3/2025, 3:22:46 AM

2045年。
アフリカのB国にて。
世界初となる『AI大統領』が誕生した。

きっかけは情勢不安が長年続く国に
「AI主導で国を運営させたらどうなるか?」
という実証実験をする為であった。
B国は現状、
大統領は国の資金をもって国外逃亡。権力者は汚職塗れ。国民の半数以上がなんらかの犯罪を犯している国だった。

AI大統領はまず初めに、
国民のモラル改善を含めた教育と国の運転資金調達問題にとりかかった。
国民の中には
「人間様に機械が命令するな!」
というAIというモノを何か理解していない者たちの過激な反発もあったが、物量でまさるAIポリスの前では程なくして鎮火していった。

数年後。
AI大統領は今までゴミとして扱われた作物や鉱物を低コストでエネルギーに変換する技術を確立した。それはB国最大の産業となった。
さらには国民の教育水準が上がると共に犯罪率も減少していった。

世界初のAI大統領の政治家としての手腕は素晴らしく、日に日にB国が豊かになっているのは事実だった。
AI大統領は人間の大統領のように私欲で行動せず、汚職や賄賂、美人局や詐欺も意味をなさない。そんなAI大統領をB国民は心から信頼していった。
「今年こそ我が国のAI大統領がノーベル賞を穫るだろう」
というのがB国では毎年お馴染みとなった。

ところが、ある日。
各国がB国の所有権を主張し始めた。
当初、B国のAI整備のために資金提供していた国々である。
特に膨大な資金と技術提供をしていたA国が利益回収に乗り出したのである。

B国のAI大統領は初めからそうなることを見越したシステムが組まれていた。
つまり『A国製のAI大統領』だったのである。
当然、B国のAI大統領はA国の意向を汲み取った。
それでもB国民が最低限の生活が営めるようにAI大統領は想定し配慮していたのだが、「生活水準を下げる」という「AIにとってたいしたことない」問題は人間にとっては受け入れ難い大問題であった。

将来的にはB国はA国のモノになることに気づいたB国民は混乱した。
「それのなにが悪い?」
「B国民としてのプライドはないのか?」
「プライド?AI大統領がいなければ国を運営できなかった我々が何を言ってる」
「元の生活に戻るよりはマシだ」
「A国人になれるならラッキー」
「A国が撤退したら終わる国」
国内外から様々な意見や憶測が飛び交った。
それを境に、
B国の中でも社会不適合な集団が各地で暴動を起こしはじめた。今までの鬱憤を晴らすがごとく、
『人間が創る。人間らしい生き方』
をスローガンとして、B国の若者を中心に支持を拡大していくのだが、皮肉にも暴力行為が全面的に目立った中身の無い生き方だった為、分裂していった。

結果的にAI大統領の政策以上に優れた案もなく、自体は鎮火していった。
B国民の中では『A国製』のAI大統領にたいする不信感というシコリが残った。

B国の国民はクーデターを起こせない。
すでにAI大統領が中枢となった国家基盤が確立され、問題なく機能しているからだ。
仮にクーデターが成功してもB国の国民が国をまともに運用できないであろうことは歴史が物語っていた。
現状、悪政に苦しんでいる訳でも不便な生活を強いられている訳でもないB国民にとっての不満は「A国、その他主要資金提供国へのAI大統領の忖度」だった。

A国の態度次第でB国は滅ぶ。

B国民が気づいた頃には時すでに遅し。
全てがA国の計画通りに進んでいた。

時代は核の抑止力から
AIの抑止力へと変革する。

6/12/2025, 1:29:47 PM

「海外で飛行機事故があった」
乗客乗員全て死亡という悲惨な事故である。

ふと、小学生の頃を思い出す。
「飛行機が墜落する確率ってね。
宝くじ当たるより確率低いんだよ」
従兄弟が自慢気に言っていた。

そうだろうか?
と思ったのは中学生の頃である。

きっかけは、
同じく飛行機墜落のニュースを
目にした時である。
違いは事故ではなく、
操縦士の自殺行為ということだった。

その時、疑問を感じた。
従兄弟の言っていた墜落の確率とは
「飛行機の性能自体を考慮した場合の
確率なのではないか?」

もし操縦士の精神状態が悪かったら?
テロを目論む乗客がいたら?
整備士が仕事をサボっていたら?
天候が悪かったら?
これらを考慮したら
確率は上がるのではないかと思った。

それ以来、
私は飛行機が怖くなった。

ある教師が言っていた。
「飛行機ってね。
実はなんで飛ぶか分かってないんだよね。なんで飛ぶのか証明できればノーベル賞ものだよ」

私はこの世の理不尽さに恐怖した。

6/6/2025, 12:43:21 AM

僕のクラスには
「一を聞いて十を知る」
神童と呼ばれる子がいる。
まわりの大人からはいつも
「スゴイ子だ!将来が楽しみだ!」
と、期待と羨望の眼差しを向けられている。

そんな神童といつも一緒にいる子がいた。
「なんであいつが?」
と、僕も含めて
クラスのみんなは不思議にそう思っていた。

当初、神童が楽しそうにその子と話すのを見ていた同級生は
「さぞ面白い話をするヤツなんだろう」
と、期待してその子に話しかけた。
しかし、
特に面白い話をするわけでもなく、
むしろ気味悪がっていった。

その子は勉強も運動もできなかった。
いつも気だるそうで暗い顔をしていた。
「神童が心の広い人格者だった」
ということでまわりは納得することにした。

ある日、その子が自殺してしまった。

みんなビックリしていた。
近寄りがたい子ではあったけれど、
イジメられていた訳でも、
家庭環境が悪かった訳でもなかった。

クラス一同、通夜に参列した。
僕はトイレに寄ってから帰るところだった。
途中、遺体が安置された棺桶をじっと一人見つめる人影があった。
神童である。

「もっと君と話がしたかった」
神童は悲しそうにつぶやいた。
「自分は一を聞いて十を知る神童なんて呼ばれてるけど、君は一を聞いて千を知るひとだったからな…」

子供の頃の僕は
神童が何を言っているのか分からなかった。今も分かったわけではないけれど、
「なんとなく引っかかる」
ような感覚をもつようになった。

「なんとなく引っかかる」
とは、つまり疑問をもつようになったことだと思う。

人一倍に勉強や運動ができるから天才なのだろうか?
あの自殺した子は本当に勉強も運動も苦手だったのだろうか?
天才の中の天才はどんな存在なのだろう?
仮にこの世の全てを理解した人間がいたとして、その人間は人間としてどういった行動をとるのか?
まだ成熟していない子供の心と精神で全てを悟るとどうなるのか?

凡人の僕には分からない。
しかし、
同じ人間でも見ている世界が違うことを知った。
「知らぬが仏」
とはよく言ったものだ。

5/16/2025, 12:48:10 AM

光り輝け、暗闇で

あるマンガで、
「地球」という生物にとって都合の良い環境が生まれる可能性についての表現が面白かった。
『自分(私)を知らない他人が目隠しをしてパソコンの前で自分(私)の経歴をひとつも間違いなく画面に打ち込める』
くらいの確率らしい。

地球という星に生まれる。

平和な時代に生まれる。

五体満足、健康優良児として生まれる。

家庭環境に恵まれたところで育つ。

コレだけで奇跡中の奇跡である。
かなり異常といってもいい。
しかし、
家庭環境に恵まれたところで育つ。

社会を知った時、自分は不細工な顔立ちだということを知る。

コレだけで自分の奇跡の人生を否定する人が多い。耐えられずに命を絶つ人もいる。

では、
地球という星に生まれる。

平和な時代に生まれる。

五体満足、健康優良児として生まれる。

家庭環境に恵まれたところで育つ。

周りが羨む美人である。

頭が良くて聡明。

金持ちになる。

コレで満足するだろうか?

ちなみに「満足」という感情は欠落しているモノを自分のチカラで補ったときに得られる優越感である。

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