詩人「私は今まで、無色の世界を歩んできました」
オレ「無職だったんスか?」
詩人「はい、それはとても虚無なもので、先の見えない世界でした」
オレ「きついっスね」
詩人「どうすればいいのか途方にくれる毎日でした」
オレ「労働とかなかったんスか?」
詩人「確かにロード(道)はありました。しかし、誰かの作ったロードを歩むつもりはありませんでした」
オレ「カッコイイっスね。オレ、いつも時給で選んでるっスわ」
詩人「持久で自分のロードを選ぶのは恥ずかしいことではありません。私は幼い頃から持久(力)がありませんでしたから、選ぶことも出来ませんでした」
オレ「マジっスか?超ブラックっスね」
詩人「確かに他人から見れば暗い世界かもしれません。しかし、私にとってはまだそこは無色の世界でした」
オレ「(時給がないなら)そうなんスか?」
詩人「そんな私でも努力を続けた結果、みるみる持久(力)がついていったのです」
オレ「無職じゃなくなったんスね」
詩人「はい」
授業中に夢見る心君は
寝言を言った。
「どうせお前らも影でそこそこ笑ってるんだろっ!」
それを聞いた隣の女子が
「こそこそじゃね?」
と、ツッコんだ。
みんなそこそこ笑った。
心君は知る由もない。
クローゼットの中を整理していると、
友人から
「苦労が多いね」
と、言われた。
友人は高級クラブのホステスである。
なるほど、彼女くらいになると、
着ている服で相手の心理状態が分かるらしい。
さすがである。
私は「そうなのよ…」
と、今までの苦労を赤裸々に語った。
語り終えると、友人はポカンとした表情を浮かべていた。
どうやら、
「苦労が多いね」ではなく
「黒が多いね」と言っていたようだ。
届かぬ想い…
「みんな、自分の願い事ばっかりで、
全然自分のこと気にかけてくれない」
神様ヘルプ窓口に訪れた神様は言った。
私はうんうんと頷く。
まずは相手の話を否定せずに聞くことが重要である。
今、ちまたでは
「ゴッドハラスメント」なるものが流行っているらしい。
登校拒否ならぬ降臨拒否、
不登校ならぬ不登降である。
「シヌノワイヤー!」
と、ロボットに乗った美少女が叫んだ。
快晴の空に響く。
怪人の私は何か強力なワイヤーを射出するのだろうと身構えた。
しかし、一向に射出されない。
どうやら彼女は
「死ぬのは嫌っ!」
と、叫んでいたらしい。
人間は非道である。