Fiorella

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8/18/2023, 2:09:56 PM



 
  鏡よ鏡、鏡さん。
  私を美しく写しておくれ。


  この一瞬だけで構わないから。
  魔法をかけて。


  2023.8.18.鏡


8/15/2023, 4:39:57 PM



  ひとり防波堤に座り海を見つめた。

  人も、鳥も、船も、何もいない。
  ひとりぼっちみたい。
  なんだか寂しい。でもいい気分。

  昼間の暑さでにじんだ自分の輪郭が、
  夜風できちりと押し固められて、
  なんだか別の自分になったみたい。

  夜の海のおとは静かで、清らかな感じがする。
  風も穏やか。案外暖かでやわらかい。

  ぬるい風が涙の跡を拭った。
  またね、今日の私。


  2023.8.16.夜の海

8/4/2023, 11:46:31 AM



   つまらないことでも
   挑戦してみるといい。

   失敗しても気にしなくていい。

   皆、あなたのことはあまり気にしていない。
   あなたのように、自分を気にしているから。

   だから何か一つ、
   興味の持てそうなものを
   さがしてみるといい。
 
   たくさんの経験から
   新しい何かを見つけられたら、
   それだけですてきなことだから。
   
   2023.8.4. つまらないことでも

8/2/2023, 4:48:24 PM


がらがら、がら、と大きな音を立てて崩れていった。


「膝前十字靭帯断裂」「アキレス腱断裂」 

それが俺の死刑宣告。
陸上部のエースだった俺は、この夏に死んだ。


事故だった。
隣のレーンで走ってたヤツが上手くハードルを避けられなくてバランスが崩れた。そして俺のレーンに倒れた。俺がソイツを避けようとして、失敗した。

ただ、それだけのこと。


後輩だというソイツは泣きながら俺に謝ったいた。
人懐っこそうな顔をくしゃくしゃにして、ぼろぼろと涙を流していた。悪いことしたなぁ、と思った。

少し、鬱陶しいとも思った。
ごめんなさいも、俺のせいでも、要らなかった。
俺が欲しかったのは、確かな「大丈夫」だった。

お前は、まだ走れる。
お前のハードラー人生はまだ、終わっていない。
その言葉だけで良かった。

それでも現実は理不尽で、お医者さまは俺の欲しい言葉をくれない。言うのはひとつ、諦めろ。


もう、元のように走れない。
ハードルを飛ぶことが出来ない。

記憶にないが、それを聞いた俺は暴れまわったらしい。面会が出来るようになったのが3日前。後輩が来たのが昨日。あれからぼんやり過ごして1日。


あっけないもんだなあ。
コワレモノの脚を見つめて、そう思った。

真っ白な病室とマッチしない、黒く焼けた肌が恨めしくて仕方がなかった。

生ぬるい風が、気持ち悪かった。


こういう時、漫画の主人公なら違ったんだろうな。
リハビリとかケアをして、また羽ばたくんだろうな。

でも俺は、そんなふうになれない。
そう思ってしまったから。


無機質な病室の窓から見た、鮮やかな入道雲の白に泣きたくなった。


2023.8.2. 病室

8/1/2023, 2:36:26 PM


_明日、もし晴れたら。

早起きしてみようか。

三文の徳というし、
どこか遠くへ遊びに行ってみようか。


_明日、もし雨なら。

昼まで寝てみようか。

陽が高くなるころに起きて、
そのままだらだらと過ごしてみようか。


まあでも、決めるのは明日のあたしだし。
明日の朝でも、遅くないはず。


ああ、もう寝なきゃ。
どっかで見てるカミサマが、きっと良くしてくれる。



2023.8.1 明日、もし晴れたら

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