雪明かりの夜 凍てつく鏡 心の旅路 静かな終わり です。
雪明かりの夜
「あれ?外が明るいな」
夕食後、あなたと2人でベランダに出て、ワインを飲むのが日課の私。
いつもなら、月や星が主役の時間帯。
なのに、今日は外が明るかった。
「そうだね。雪明かりのおかげだね」
「雪明かり?」
テーブルにワインを置き、ベランダから外を眺め
「そう。積もった雪に、月や街灯などの光が反射して、周りを明るく照らす現象のことだよ」
あなたはにこっと笑う。
「そうなんだ」
あなたの隣に立ち、同じように眺めると、雪がキラキラしているように見えた。
「雪明かりの下で飲むのも、イイかもね」
「そうね」
部屋の電気を消し、雪明かりの下、あなたとワインを飲んだのだった。
凍てつく鏡
「は~、寒っ」
手袋をした両手を擦りながら外に出ると、昨日の雨でできた水溜りが、キラキラ輝いていた。
「ん?あっ、凍ってる」
水溜りを足先で触れてみると、硬い感触がある。それに
「鏡みたいに、映ってる」
触れた足先が、氷に映っていた。
「すごい。こんなにキレイに映ってる」
しゃがんで凍てつく鏡のような氷を覗き込んでいたけれど
「まずい。電車の時間」
腕時計の時間が目に入り、慌てて駅へ向かうのだった。
心の旅路
「はぁ~」
仕事でイヤなことを言われたり、失敗してしまったとき、僕は深いため息を1つ吐くと
「よし」
気持ちを切り替えるように心の旅路に出る。
とは言っても、どこかに出かけるのではなく、疲れた心を癒すため、お気に入りの入浴剤を入れた湯船に長く浸かるのだ。
「スマホを防水ケースに入れて。っと」
湯船の中で映画を見たり、好きな曲を聞いたり、とにかく好きなことをして過ごす。
「ふぅ」
気持ちが前向きになれたら、湯船から上がり、心の旅路は終了する。
「よし」
身も心も温まり、明日からまた頑張ろうと思えるのだった。
静かな終わり
キミとデートした帰り。キミを送るため、2人で駅へ来た。
「またね」
「うん、またね」
言葉ではそう言うけれど、繋いだ手は離せない。
しばらく言葉もなく見つめ合っていたけれど、キミが乗る電車が、そろそろ着くことを、アナウンスが知らせる。
「じゃあ、行くね」
「うん」
どちらともなく手を離し、僕は、振り返らないキミを見送る。
キミとのデートの静かな終わり。
一刻も早く、キミと一緒の暮らしを実現しなきゃと思うのだった。
祈りを捧げて
「今日も1日、楽しく過ごせますように」
手を組み、目を閉じると願いを唱える。
「よし、行くか」
願いを唱えた後、仕事に向かうのが僕の日課だった。
「今日もキミが笑顔で過ごせるといいな」
仕事の都合で海外にいる僕。
恋人のキミと離れてしまうことを心配したけれど
「私は大丈夫。仕事、頑張って来て」
と言われてしまえば
「うん。なるべく早く帰るね」
と、言うしかない。
「仕事、頑張ろう」
淋しい気持ちを心にしまい、毎日祈りを捧げて、キミのことを想うのだった。
揺れるキャンドル 遠い日のぬくもり です
揺れるキャンドル
「クリスマス、何かしたいことある?」
「えっとね…」
「よし、できた」
あの日聞いた、キミがクリスマスにしたいことを叶えるため、イブの今日、仕事を早めに切り上げて仕上げをしていた。
「喜んでくれるといいな」
準備ができ、そわそわする気持ちを落ち着かせるためコーヒーを飲みながらキミが来るのを待っていると
「お邪魔します」
玄関の扉が開く。そして
「すごい、キレイ」
リビングに入って来たキミは、部屋の様子に笑顔を見せる。
「良かった。上手くできたみたいだね」
喜んでもらえるか不安だったけど、キミの笑顔にホッとする。
「願いを叶えてくれてありがとう」
キミがクリスマスにしたいこと。それは、俺の部屋でキャンドルナイトをすること。その願いを叶えるため、自分なりに部屋をキャンドルで飾ってみた。
「喜んでもらえて良かった。さ、お腹すいたでしょ。ケーキ用意してあるから食べよう」
キミを、キャンドルをハートの形に置いたテーブルに促し、冷蔵庫から持ってきた小さなホールケーキを、ハートの中に置く。
「わぁ、これもステキ」
キミが写真を撮ったあと、ケーキを2人で食べ始める。
「美味しいね」
「ああ、美味いね」
揺れるキャンドルの優しい光に包まれながら、思い出に残るクリスマスを過ごしたのでした。
遠い日のぬくもり
「あと、どれくらいしたら…」
あなたが海外に出向してから1ヶ月。
「クリスマスまでには戻って来るよ」
そう言って笑顔で出かけて行ったけど、1ヶ月経った今も、あなたは帰って来ない。
「今日はクリスマスなのに…淋しいよ」
出かける前、あなたが抱きしめてくれたそのぬくもりは、遠い日のぬくもりとして、思い出になってしまっている。
「早く帰って来て」
電気も点けていない暗い部屋で泣く私。
その私の前に、プレゼントを持ったあなたが現れたのは、数分後のことだった。
光の回廊
「楽しみだね。早く、順番来ないかな」
キミと並んでいるのは、クリスマスマーケットの中にある、イルミネーションで彩られた大きなツリーを背に、写真を撮ってもらえるスポット。
多くのカップルが、ツリーへと続く光の回廊を少しずつ進んでいた。
「そうだね。俺、ツリーを間近で見たことないから、見るのが楽しみだわ」
にこにこ笑うキミに微笑むと
「ツリーも楽しみだけど、私はあなたと写真を撮れるのがうれしいよ」
そう言って、キミは俺の手をそっと握ると俺を見上げる。
「これからも、あなたとたくさんの写真と思い出を増やしていきたいな」
「うん。増やしていこう」
ふわりと笑うキミが愛しくて、人が多いにもかかわらず、キミの髪にキスしたのだった。
手のひらの贈り物 時を結ぶリボン 降り積もる想い です
手のひらの贈り物
星が煌めくクリスマス・イブの夜。
キミと2人、クリスマスソングが流れ、イルミネーションが輝くクリスマスマーケットに来ていた。
「ホットワイン、美味しいね」
「このチキンも美味いよ」
店で買った物を食べ、大きなツリーの前で写真を撮る。
「帰ろうか」
クリスマスマーケットを堪能し、帰ろうと促すと
「ちょっと待って」
キミはバッグから何かを取り出し
「メリークリスマス」
それを手のひらに乗せ、僕に差し出す。
「ありがとう」
キミからそれを受け取ると、コートのポケットに入れておいたキミへのプレゼント。それを
「メリークリスマス」
キミと同じようにキミに差し出した。
「ありがとう」
2人で微笑み、その場を後にする。
「どうしてツリーの前で、プレゼントをくれたの?
本当なら、キミを家に送った後、プレゼントを渡そうと思っていたんだけど」
帰りの車の中で、キミに聞いてみると
「あのツリーの前でプレゼントを贈り合うと、これからも幸せに過ごせる。ってジンクスを聞いたの。だから、あの場でプレゼントを贈ってもらえて、気持ちが通じ合ってうれしかった」
キミは幸せそうに笑う。
「そうなんだ。僕もうれしいよ」
キミからもらった、手のひらの贈り物。
特別な想いが込められたプレゼントに、僕の胸は高鳴るのだった。
時を結ぶリボン
過去から今へ、時を結ぶリボン。
そのリボンを辿り、着いた先が大好きなキミの元なら、僕は最高に幸せだろうな。
そうなるためにも、キミに好きになってもらえるように、頑張ろうと思うのだった。
降り積もる想い
キミに会うたびに、降り積もる想い。
会えば会うほど、キミへの好きが大きくなっていく。
このまま想い続けたら、僕の心はどうなっちゃうんだろう?
風船みたいに膨らみ続けて、割れちゃうのかな。
そうならないうちに、キミへの想いを伝えなきゃ。
そう思うのだった。