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揺れるキャンドル 遠い日のぬくもり です


揺れるキャンドル

「クリスマス、何かしたいことある?」
「えっとね…」

「よし、できた」
あの日聞いた、キミがクリスマスにしたいことを叶えるため、イブの今日、仕事を早めに切り上げて仕上げをしていた。
「喜んでくれるといいな」
準備ができ、そわそわする気持ちを落ち着かせるためコーヒーを飲みながらキミが来るのを待っていると
「お邪魔します」
玄関の扉が開く。そして
「すごい、キレイ」
リビングに入って来たキミは、部屋の様子に笑顔を見せる。
「良かった。上手くできたみたいだね」
喜んでもらえるか不安だったけど、キミの笑顔にホッとする。
「願いを叶えてくれてありがとう」
キミがクリスマスにしたいこと。それは、俺の部屋でキャンドルナイトをすること。その願いを叶えるため、自分なりに部屋をキャンドルで飾ってみた。
「喜んでもらえて良かった。さ、お腹すいたでしょ。ケーキ用意してあるから食べよう」
キミを、キャンドルをハートの形に置いたテーブルに促し、冷蔵庫から持ってきた小さなホールケーキを、ハートの中に置く。
「わぁ、これもステキ」
キミが写真を撮ったあと、ケーキを2人で食べ始める。
「美味しいね」
「ああ、美味いね」
揺れるキャンドルの優しい光に包まれながら、思い出に残るクリスマスを過ごしたのでした。


遠い日のぬくもり

「あと、どれくらいしたら…」
あなたが海外に出向してから1ヶ月。
「クリスマスまでには戻って来るよ」
そう言って笑顔で出かけて行ったけど、1ヶ月経った今も、あなたは帰って来ない。
「今日はクリスマスなのに…淋しいよ」
出かける前、あなたが抱きしめてくれたそのぬくもりは、遠い日のぬくもりとして、思い出になってしまっている。
「早く帰って来て」
電気も点けていない暗い部屋で泣く私。
その私の前に、プレゼントを持ったあなたが現れたのは、数分後のことだった。

12/25/2025, 9:19:03 AM