誰もが、明日に向かって歩く、でも
楽しい毎日ばかりじゃない。
顔を上げることが難しいほど辛いことや
涙が枯れるほど、泣くようなこと
そんなこともある。
けど、どんなときも僕がいる。
その痛みごとキミを抱きしめるから、僕を頼って。
でも、僕が辛いときは、キミに抱きしめてほしい。
そうやって2人で支え合って、恐がらずに明日に向かって歩いて行こう。
ただひとりの君へ伝えたい。
君という存在に、代わりはいない。ということ。
君に良く似た声、姿の人は探せばいるのかもしれない。
けど、僕が愛してるのは君だけだし、愛せるのも君だけ。
ねえ、君にとっての僕は、どんな存在なんだろう。
僕が君を想うように、君にも僕を想ってほしいな。
いや、そう想ってもらえるように、これからもずっと、今以上に君を愛していくよ。
握っていた手を、パッと開いてみる。
開いた手のひらには、何がある?
何もない?いや、見えない、感じないだけで、空気が乗っている。
空気だけじゃない。きっと見えない、感じないだけで、何かは乗っているのだろう。
「まるで、僕の手のひらは宇宙みたいだ」
宇宙みたいに、わからない何かを乗せている。
見えない、感じない、手のひらの宇宙に、ワクワクが止まらないのだった。
「良い天気だな」
よく晴れた休日。買い物をするため街を歩いていると
「わっ、帽子が」
風のいたずらにあう。
「あ、待って」
後方を振り返ると、飛ばされた帽子がコロコロと転がっていた。
「風、吹いてなかったのに」
慌てて追いかけると、視線の先、女性が拾ってくれているのが見えた。
「すみません。拾っていただきありがとうございます」
女性の前に立ち、お礼を言うと
「いえ。さっきの風、強かったですね」
女性はにっこり笑う。
「あの、何かお礼を…」
「お気遣いなく」
「でもそれじゃ、俺の気が…」
というやりとりをし、
「わかりました。行きましょうか」
女性と一緒にカフェに行けることになる。
「これも、風のいたずらかな」
風のいたずらで知り合えた女性。このあと、この女性が俺にとっての大切な人になるのは、また別のお話し。
廊下のイスに腰掛け、今か今かと待っていた。すると
「オギャーオギャー」
と、分娩室の中から声が聞こえる。
「おめでとうございます。女の子ですよ」
「ありがとうございます」
聞こえてきた会話に、俺はホッと胸を撫で下ろした。
「中へどうぞ」
しばらくそのまま待っていると、分娩室から出てきた看護師に中へと促される。
「ありがとうございます」
逸る気持ちを抑え、静かに中に入ると
「あ、あなた」
産まれたばかりの赤ちゃんを胸に抱き、キミは嬉しそうに微笑む。
「女の子よ」
「…ああ」
元気そうな赤ちゃん。胸にこみ上げる気持ちのまま
「お疲れさま。ありがとう」
妻に感謝を伝えると、妻の瞳から透明な涙が流れる。
その涙に、妻も赤ちゃんも俺が守る。と強く思うのだった。