「もしも未来を見れるなら、見たいと思う?」
風呂上がり、キミと二人でビールを飲んでいたら、ほんのり顔を赤くしたキミがそんなことを言い出す。
「うーん、そうだなあ。別に見なくていいかなぁ」
グビッとビールを飲みちらりとキミを見ると、つまらなそうな顔をしている。
「何でそんな顔してるの?」
「だって、つまんないもん」
キミが唇を尖らせるので
「何がつまらないの?」
キミの唇を指で挟んでいたずらすると
「もう」
今度は頬をぷくっと膨らませる。
「だから、何がつまらないの?」
膨らんだ頬をつんつん突くと
「だって、見てみたいでしょ、未来」
頬を戻し、いじけた表情をする。
「見てみたいの?」
「そりゃ、見てみたいよ。子どもはいるのかなぁ。とか、家は建てたかなぁ。とか」
「ああ、なるほどね」
いじけたキミの髪を撫でると、キミの表情は和らぐ。
「ね、見てみたいでしょ」
キミにそう言われたけれど
「いや、別に」
俺の答えは変わらない。
「何で?」
不満そうに俺を見つめるキミに
「だってさ、未来なんて見なくても、キミと幸せに暮らしてる。ってわかりきってるからね」
俺は笑ってキスしたのだった。
無色の世界から一歩を踏み出す。
その先に待つのが楽しいことなら、Happyな色に。
辛く悲しいことなら、涙色に。
イライラムカムカするなら、怒りの色に。
ホッとするなら癒やしの色に。
出会う出来事によって、色はさまざまに変化する。
その変化を受け入れながら長い道を歩いて行こう。
辿り着いた終着点が、幸せな色で包まれていますように。そう願いながら。
キミと離れて、もう半年も経つんだね。キミにとっては、まだ半年かもしれないけれど。
お互いが新しい場所へ踏み出す。とわかったとき、移動時間が長時間になってもいい。キミと一緒にいたいから一緒に住もう。と言った僕に
「あなたがいないとダメな私になりたくないの。あなたがいなくても一人で歩ける。そう自覚できたら、一緒にいよう」
キミはそう言った。
「わかった。でも…」
離れてしまったら、心も離れてしまいそうで怖かった僕は
「もしキミと偶然に、ここではない、どこかで会えたなら、すぐにでも一緒にいてほしい」
キミの目を見つめ懇願すると
「きっと、そんなところで会えたなら運命だよね。わかった。約束する」
キミは頷いてくれる。
ここではない、どこかで会う。か、キミが僕と歩いてもいい。と思えるまで、僕はキミとの運命を信じて歩いて行くのだった。
神様へ
もしも願いを叶えてくださるなら、ここに投稿しているみなさまのように、お題を出されたらパッと書きたいことが浮かぶ能力、文章力などなど、書くために必要な能力を与えてください。
書くことは好きなのですが、書くスピードはゆっくりだし、書きたい内容·アイデアは浮かばないし、上手く書くことができません。ですから神様。
もしも願いを叶えてくださるなら、書くための能力が欲しいです。
「まだかなぁ、もうすぐかなぁ」
静寂に包まれた廊下で、ポツンと長椅子に座っている。けれど、そわそわと落ち着かず、立ったり座ったり、廊下をうろうろとしていた。
「かれこれ1時間は経つなぁ。けど、もっと長く待っている気がする」
分娩室に妻が入ってからそれくらいが経つが、俺には、1分1秒がとてつもなく長く感じられた。
まだかな、まだかな。とさらに待つこと数十分。分娩室から赤ちゃんの元気な泣き声が聞こえてきた。
「やった」
長椅子から立ち上がり、思わずガッツポーズをしたりとはしゃぐ俺を
「処置が終わりましたのでこちらへどうぞ」
看護師さんが分娩室から呼んでくれる。
「ありがとうございます」
促され中に入ると、横になっている妻と生まれたばかりの赤ちゃんがいた。
「お疲れさま。頑張ってくれてありがとう」
妻の頭を撫でながら労うと
「うん、元気に生まれて来てくれて良かった」
妻はホッとした表情を見せる。
「ねえ、赤ちゃん、どっちに似てるかな?」
そう聞かれ、すやすや眠る赤ちゃんをまじまじと見つめると、妻だけじゃなく、こんなに小さいのに頑張って生まれて来てくれたんだ。と、言葉にできない感動が生まれ涙が溢れる。
「どうしたの?大丈夫?」
俺が急に泣いたので、妻が慌てて俺の手を握ってくる。俺は涙を拭い
「これから俺、頑張ってくれた二人に負けないようにもっと頑張るよ。キミも、赤ちゃんも幸せにするね」
妻の手を握り返した。