ねぇ
わたしは蝶々でもお花でもないわ。
みつめられたわたしには
間違いなく世界でひとつだけの愛が注がれている。
すてきなあなたの愛を独り占め。している。
でも
わたしはあなたを憐れだとも愚かだとも思ってるし
こんなわたしで胸をいっぱいにするあなたを
─本当は愛してもいない。
これがわたしのこころ。
これがあなたのお花の本音。
それでもわたしを
─あなたはお花だと言ってくれる?
わたしはお花
あなたはお水
あなたはわたしに愛とご飯と毎日をくれて
わたしは わたしは 。
あなたはあの日わたしに留まってくれた蝶々だった。
─キミの花びらがとてもかわいくて .
そう言ってひらひらわたしにくっついた。
─ 。
あの時の蝶々はお水に変わった。
それでもわたしは
あなたのお花のまま。
あの日のあなたを乗せた あなたのしらないお花 。
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どんないのち、どんな日々を送るのか
遺伝子がすべて決めてるらしいの。
私の性格。
私の行動。
それらが全部
生まれたときから決められてるんだって。
こうしてそこのあなたに言葉を伝えることも。
─ 。
アリが巣へ食料を運ぶことと
なにひとつ変わらない事実だけが残った。
ねぇ
わたしたちの語る希望ってなに?
人間が特別じゃないということ
単なる生物の一部であるということ
どうして解き明かしてしまったんだろう。
知らないままの憐れな人形でも
しあわせなまま終われるなら
それでよかったのに。
苦痛を知って
しあわせを知って
最期はどうしようもない絶望を知って
暗闇の中 すべてを終えるの?
最初から決まっていることは
わたしたちは手足を糸で吊るされた奴隷だったってこと
ねぇ
信じられる ?
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わたしは太陽の日陰で在りたいの。
暑いところが苦手な人でも
ここなら生きてゆけるかもって、
逃げ場のない人の
僅かな避暑地で在りたいの。
前向きな言葉なんて勘弁。
ウザいお説教はあなたがウザいからできる事。
自分の価値観の正当性なんて
他人にとってどうでもよいこと。
わたしの為という鼻糞みたいな驕り。誤り。
─くだらない。
また関わりたくない人間が増えてゆく。
余計なことは言わなければいいだけ。
それだけ。
たったそれだけ。
たったそれだけの事もできない人たち。
どうしてあなたもいつかのあの人も
みんなみんな
『自分が自分が』 .
無限地獄は此処にあるわ
朝の光の希望のなさ。
夜の帳の儚いまやかし。
今は
涙の味も
もう忘れてしまった頃─。
プラネタリウムがよせてはかえす。
意味のあるように演じるほしたち。
きらきらぱっぱっ。
この水晶体に反射する輝きは
不確かな今を照らしてくれたかしら?
このきらめきの
意味はいったい .
──星屑が夜を裂いて散った
折れた脚で踊るから傑作なのね
枯れ果てた涙だから滑稽でわらえるのね
このいのちは
いったい誰の悦びのカケラ
ゆるやかにいのちを溶かしながらも
永遠に変わらないものがあること
わかっていながらも
永遠に変えられないものがあること
これはそう きっと××
あぁ
これが夢ならだれの夢?
ワタシハワタシハ .
だって
── 人にすらなれなかったいのち 。