フグ田ナマガツオ

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9/6/2023, 11:06:14 PM

チャイムが鳴れば、席に着くのが当たり前だが、その日は違った。生徒のみならず、先生も一様に廊下の窓から身を乗り出していた。

8/27/2023, 5:48:05 AM

ボディが砕けてネックのへし折れたテレキャスターと2人きりで過ごすのも、そろそろ限界だった。
金にならない言葉で埋まったルーズリーフを握り潰して、思い切り投げようとしたけれど、軽すぎて勢いも出ないから、壁に届きもせずに情けなく落ちただけだった。

8/20/2023, 2:20:07 PM

卒業までの数ヶ月くらいは、一緒に過ごせるものだと思っていた。
言いたいことを散々言って、勝ち逃げみたいにこの世から消えた君に、私はさよならもまだ言えていない。
君のおかげで私へのいじめはなくなったけど、代わりに君を失うと知っていたら、こんなことは願わなかった。
望んだ世界に君がいないなら、地獄の底でも君といた方が私は幸せだったけれど、君はそう思ってくれなかったんだろう。
伝えていないから知らないよね。

世界は誰もが正気を失わないことを前提に動いている。
それは高リスクで、ある種狂ったシステムだと思うけど、毎度狂人を想定してシステムを作るのは非効率極まりないし、仕方ない。
同級生の家を知るのは簡単で、爆弾を作るのは簡単で、スイッチを押すのも簡単だ。

悲鳴を含んだ怒号に合わせて人波がうねる。
機能的で正常でムカつくからもう一発。
何人合わせてもまだ足りない。
失った大きさにつりあわない。

私は多分君より深いところの地獄に行くから、待っててとは言えないけど。
爆音くらいは届いてくれたら、なんて高望みしすぎだろうか。

8/8/2023, 11:48:11 AM

蝶よ花よと育てられたせいか、私のわがままは留まるところを知らない。
欲しいものは手に入れないと気が済まないし、今までそうして手に入らなかったものはない。
だから私は困っている。
学校一モテるこの子を落とすには、超えなきゃいけない壁がある。

7/18/2023, 9:36:25 AM

あれは遠い日の記憶だと思っていたけれど、全部が私の妄想だったとしても不思議はない。
それほどに私はそれを渇望していたし、そういう存在と出会うことを常に望んでいたように思う。

大分にある祖母の家は山奥に立地していて、車で行くには時間がかかる。
私は車酔いしやすいタイプなので、酔い止めの薬を飲んでいたが、うねりの激しい山道には歯が立たず、いつも最悪の気分で到着を待ち望んでいた。

祖母の家には私達3人家族と、父方の従兄弟たち4人家族で連れ立っていく。
大人たちが話している間、私はやることがない。
従兄弟2人組はゲームばかりしているし、遊ぶ相手もいないから、家のさらに上の方の山道に遊びに行くことが多かった。
今考えれば当時10歳の子供が1人で山奥に行くのを、全く気にもとめないのは無神経が過ぎると思うのだが、当時は特に気にすることもなかった。

車一台がギリギリ通れる道路を進んで、山の小路に入っていくと、そこに池がある。

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