フグ田ナマガツオ

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あれは遠い日の記憶だと思っていたけれど、全部が私の妄想だったとしても不思議はない。
それほどに私はそれを渇望していたし、そういう存在と出会うことを常に望んでいたように思う。

大分にある祖母の家は山奥に立地していて、車で行くには時間がかかる。
私は車酔いしやすいタイプなので、酔い止めの薬を飲んでいたが、うねりの激しい山道には歯が立たず、いつも最悪の気分で到着を待ち望んでいた。

祖母の家には私達3人家族と、父方の従兄弟たち4人家族で連れ立っていく。
大人たちが話している間、私はやることがない。
従兄弟2人組はゲームばかりしているし、遊ぶ相手もいないから、家のさらに上の方の山道に遊びに行くことが多かった。
今考えれば当時10歳の子供が1人で山奥に行くのを、全く気にもとめないのは無神経が過ぎると思うのだが、当時は特に気にすることもなかった。

車一台がギリギリ通れる道路を進んで、山の小路に入っていくと、そこに池がある。

7/18/2023, 9:36:25 AM