寿ん

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1/4/2026, 1:24:48 PM

『幸せとは』


え?幸せがなんたるか分かんねえって?
あたしに教えてほしいだって?

バッカだねえお前さん。
そんなの人に教わるモンじゃねえよ。自分で気づくモンなんだよ。

なんか食って、美味いと思ったことはあるか?
誰かと会って嬉しいと思ったことはあるか?
空を見上げて、その高さを感じたことは?

それだけじゃねえ。
壁にコンセントがあること、スイッチひとつで電気がつくこと、蛇口ひねれば水が出ること。
なんだって「幸せ」さ。あとはお前さんが気づくだけだ。

いずれ分かる。ああこの世に生まれてよかったと、天を仰ぐ日がやって来るさ。

……あン?あたしの幸せ?んなモン決まってるだろ。

お前さんに会えたことだよ。

10/20/2025, 5:30:38 AM

『君が紡ぐ歌』


浅い呼吸がきこえる。一定のリズムで、低く、高く。
うなされるように、君はかすかな声をもらした。うっすらと目を開く。

目が合うと、僕はその頬をはりついた髪をつまんだ。
「まだお眠りよ。夜は長い」

君はまた目を瞑った。枕元に座る僕の袖を握って、くいくいと引っ張る。

「はいはい。まったく、君もまだまだ子どもなんだから」
冷やかして笑いながら、僕は喉をひらいた。息を吸う。肺に眠る五線譜にトーン記号をおいて、僕は歌い始めた。

君のための子守唄。
僕だけが歌える子守唄。

それはいつか波音に溶けてしまうだろう。
君はこの歌を忘れて、必要としなくなるだろう。
だけど君が望むなら、僕はいつだって同じ歌を奏でてみせよう。
ずっと変わらない愛しさを込めて。

君の寝息がきこえる。呼吸は深くなって、ひたいに浮いていた汗も乾いていた。
僕はそっとそばを離れ、開け放たれた窓に腰かけた。

月が呼ぶ。風にのる。
穏やかな寝顔を振り返って、その呼吸に耳をすます。
これが君の紡ぐ歌。僕だけの宝物。

「おやすみ、いとしの我が子」

ひと吹きの風が、窓枠になびくカーテンを揺らした。
君の部屋にはもう誰もいない。
ただかすかに残る子守唄と、君の歌がきこえるだけ。

10/1/2025, 10:25:32 AM

秋の訪れ


(読み)アキ-ノ-オトズレ
(意味)ほら、そこの街灯が灯ること。
   
類語……金木犀の香り
対語……ひと筋の汗

9/27/2025, 1:11:25 PM

『涙の理由』


そんなの、あなたが笑うから。
ただそれだけよ。

9/17/2025, 7:20:02 AM

「答えは、まだ」



銀行アプリから通知がきた。
なんだと思って開いてみると、こないだのクレジットカード利用額が引き落とされましたうんぬんと言っている。

3万8000円か口座から引かれ、残りは16万。
次の給料日が来たら、いよいよだ。

この金みんな握りしめて銀座の宝石店へ行こう。

君がくれたプロポーズの返事を買いに。

地位も権力もお金もない、地味なフリーターの俺だけど、せめてこれだけは確かな形にしたいんだ。
だから待っていてくれと頼んだら、君は不思議そうに首を傾けてる、それから耳を赤くして「うん」ってうなずいてくれた。

それだけで俺はなんだってできる気がしたよ。

君がくれたプロポーズの答えは、まだ、口の中にある。
でももうすぐ伝えに行くよ。

きらりきらめく想いを宝石に、
この永遠の誓いを輪っかにして、
君の薬指にはめよう。

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