『星に包まれて』
夢を見ていた。
私は宇宙をふわふわと漂っていて、
酸素もないはずなのに苦しくなくて、
いい感じに酔ったかのような心地良さだった。
地球も月も近くに見えて、
手を伸ばせば触れられると思った。
はっきりしない意識の中、あたりを見渡すと、
地上から見る時とは比較にならないほどの膨大な星。
球体として認識できるものもあれば、
光り輝いているようにしか見えないものもあった。
天体がすきな私は、とてもとても幸せだった。
このまま星に包まれて死んでしまいたいと思った。
『静かな終わり』
足元もなく去って行ったあの気持ちは、
諦めから来たものだったのだと思う。
誰にも気づかれることなくなくなった感情は、
私の脳が心を守ろうとしているのだと思う。
どちらも私にさよならも言わずにいなくなった。
ふと気付いたら、もう既にいなかった。
私もきっと静かに消えていくんだろうね。
『心の旅路』
ずっとずっと、記憶にないほど昔から、
私は彷徨っているのだと思う。
目的がなければゴールもあるはずがなく、
わけも分からずただ進もうとしているだけ。
実際に進んでいるかは分からない。
その場で足踏みをしているだけかもしれない。
自分でも分からないゴールに今日も向かう。
でも、今日は気分じゃないから、
近くの図書館で本でも眺めようかな。
こうやって少しずつ私の世界が広がるといいな。
『凍てつく鏡』
もうとっくに冷めきってしまった。
今更なんとも思わないしどうってことはない。
今に限った話ではないのだから。
私の心は触れられないほどに冷たく凍っていて、
溶かすことはもう出来ないんだよ。
これから別れを告げるあなたに会うための
メイクをしている時の鏡越しに、そう思った。
また来る春を、長く待とう。
『雪明かりの夜』
ひとりで遠くへ旅行に行った。
たぶん、今まで行ったどの旅行よりも、
私の心を魅了した場所だった。
冬の寒い日だった。
宿まで歩く計画を立てたせいで、
雪が積もっている中、30分くらい歩いた。
普段雪が降らない地域にいるからとても疲れた。
でも、視界は驚くくらいきれいだった。
視界いっぱいに銀色世界が広まって、
違う世界に来たんじゃないかと思うほどだった。
もう星空が見える時間なのに、何故か明るかった。
それなのに、上を見ると数え切れんばかりの星たち。
一生忘れないと思うし、走馬灯に出てくると思う。
もう一度行きたいな。