『消えた星図』
あの日、私は未知の世界を発見した。
世界を揺るがす、とんでもない発見だった。
まるで、世界が滅んでしまうかもしれないほどに。
後世に遺さなければならないと思って、
全てを星図に書き起こした。
完成間際、私が発見した壮大なものは、
発見してはいけないものだということを理解した。
それからの行動はあっという間だった。
誰にも読まれないように、見つからないように、
そっと、燃やした。
形はなくなったけれど、私の心には居続ける。
消えた星図は、私そのものとなったのだから。
『愛-恋=?』
愛してる。あなたが恋しい。
この数式の解の符号は、
正の数になる?それとも負の数?
プラマイゼロになる可能性もある。
正の数になったとして、プラスに意味はある?
負の数になったとして、マイナスに意味はある?
こういうものは、
答えがないからいいのだろう。
人によって考え方が違うからいいのだろう。
今の私には少し難しいみたいだけど、
愛おしいあなたと、
いつか答え合わせがしたいものだ。
『梨』
秋の訪れを感じる。
毎年食べる地元の梨。
小学生の頃から梨の皮むきは沢山した。
包丁で手を切ったこともあったっけ。
今年の梨はもう終わり。
次は来年かな。
『LaLaLa GoodBye』
鼻歌交じりで帰路に着く。
漫画でいうところのスキップをしている場面だ。
楽しい今日が終わって、少し寂しさも感じる。
それでも、この嬉しい気持ちに勝るものは何もない。
いつも通るただの道が、
雨上がりの鮮やかさを纏っている。
「また今度、さようなら」が、
いつか一緒に「ただいま」と言えるその日まで。
私は今日も鼻歌交じりで帰路に着く。
『どこまでも』
どこまでも行ける気がした。
何もかも、何でも出来る気がした。
強くなったように思えて、何にでも勝てると思った。
そんな幻は、夢の中の私にしか備わっていない。
それでも、あなたといれば、
幻だと思うようなことですら、起こりうる気がする。
多分、あなたとなら、
どこへでもどこまでも行ける。