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3/17/2024, 12:44:58 PM

泣かないよ

「君は、どうして音楽で一度も挫折の経験がないの?」

先輩は随分と変な事を聞く人だなぁと心から感じた。でもよく考えると私は一度だけ生きることに挫折したことがある。そのためだろうか、音楽に触れられる事が嬉しくて、それを聞いてくれる人がいるなんて更に嬉しくて、挫折どころか、嬉しい限りじゃないか。こんなに素晴らしい世界があるのだと初めて教えてくれたのだ。

「音楽を愛してるからと、でも言っときましょうか。私にとって音楽は宝石箱。素晴らしい世界。だから、挫折もしない。いや、出来ない。挫折より音楽の偉大さに圧倒され、そんなもの挫折なんてもの、通り越してしまうのです。」

3/15/2024, 12:50:22 PM

星が溢れる

家族に呼ばれ振り返ったと同時に、瓶に詰まった沢山の金平糖は、闇に飛び散った。私の家の床は綺麗な程に漆黒だ。瓶の中に入っていた金平糖の色のせいだろうか。

まるで、美しい夜空のようだった。

3/14/2024, 11:13:48 AM

安らかな瞳

もしこれを読んでくれた君にとって、なにか大変大きな舞台に立つときにどうか覚えていてほしい、と思い私自身のためにもここに記しておく。しかし、この話題はそれ相応の努力(私としては余り努力等と言いたくないが世間では努力の方が伝わりやすい為努力と記しておこう。)があることを前提にする。それがない限り、こんな落書きはなんの意味も成さないものとなる。

大きな舞台はとても怖いものだ。ましてや、審査員などがおれば。私の場合、まるで自分の身ぐるみを剥がされ裸体を世間に出しているような感覚になる。顔が真っ赤になって、なにも考えれなくなって、目線が泳ぎ、喉が締まり声が出づらくなる。人間の体と言うものは面白いものだ。只の緊張だけでこんなにも心身に影響を及ぼすものだから。

しかし、こんなに緊張せずとも良いと私は思う。何故なら、審査員は君の事を暖かい目で見守ってくれるものだ。厳しい目は向けても、一人一人しっかりと応援しているから、大丈夫だ。そんなことを言っても私はホールで1人で曲を弾くということぐらいしかやったことないので、余り使えないのかもしれない。

だが、緊張したら相手をみた方が良い。安らかな瞳でこちらをみて、暖かく応援してくれているものだから。安心して望めば良い。

3/14/2024, 7:20:33 AM

お題:ずっと隣で

君は、しつこい程に私に話しかけてきた。私が考えを少しでも話そうとすれば、隣に座ってきて、眼球の中にまるで宝石の輝きを持っているかのような眼光で、私の事をまじまじとみて、楽しそうに微笑んでいる。私が言葉を考えている時もずっと隣で、母のように優しく、明るく微笑んでいた。

ある日、彼女と軽く会うことになった。特に用はないが気分転換みたいなものだ。久し振りに合う彼女はどんなものだろうか、以前メールをした時は何処と無く違和感があり、気になってしまったが私の思い違いだろうか、等考えていれば待ち合わせ場所に着いていた。あいにく私はどれだけ親しい人でもあっても顔を忘れてしまう方なのだ。皆同じ様な顔をしていて実に詰まらないものである。名前が呼ばれた、振り向くと彼女がいた。しかし、何処と無く違う。人間には第六感もある人もいると言う噂を耳にするが、この時はその第六感が冴えたのか。何か、違った。彼女には白髪が所々生えていた。ストレスだろうか、等と考えいるが声をかけなければならない。様子を伺うように彼女の名前を呼び、私は余り人と目を合わせることが苦手だがこの時ばかりは、自分の意思で合わせないといけないと思った。しかし、一向に目が合わない。いや、合わないと言うよりは、彼女が空虚を見つめている感覚だ。これは、駄目だ。怒りと情けなさ、が私の中に蠢いていた。その日は彼女を早く帰らせた。むやみやたらと、話をするのは良くないのだろうか、そんなことを思い、その日から一年私からは1つも連絡しなかった。

久し振りに連絡をとり公園で出会わせた。そこら辺のベンチに座れば、ポツポツと話し始めた。大変な事が起こっていたみたいだ。大変だったね、等軽々しく言えず、そうなんだ、と詰まらない返事で、ずっと隣で、近くに咲いているすみれの花を眺めがら只、頷いていた。