たつみ暁

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5/3/2025, 10:19:54 AM

青は藍より出でて藍より青し、だったっけ?
私の左薬指に光るスターサファイアは、とても青い、青い。

青は愛より出でて愛より深い青なんだね。

2025/05/03 青い青い

4/28/2025, 10:39:42 AM

世界は闇の中にあった。
魔王を倒した勇者は、魔神皇の前に敗れ、四肢をもがれて炎に消えた。
魔王の上位存在である魔神皇に、慈悲など無かった。
人々は魔族に抑圧され、永遠の夜に閉ざされた空から降る隕石によって、街は次々と消えた。

だが、覚悟を決めた人々に守られ育てられていた、勇者の娘が、亡き父の聖剣を手に、魔神皇に立ち向かった。
小娘と侮りおごっていた魔神皇は、少女の渾身の一撃の前に、呆気なく屈した。

闇が去ってゆく。
顔を出し始めた朝日を、人々は抱き合い歓呼と涙で迎え、勇者の娘を心の底から讃えた。
歓声を背に受ける少女は、新たな朝を迎える世界を見て、ぽつり、呟く。

「太陽は、こんなにも美しいのね」

彼女が初めて見る、夜明けであった。

2025/04/28 夜が明けた

4/27/2025, 11:36:03 AM

朝起きた時
夜寝る前
通勤電車で窓の外を見て

たまに君のことを思い出す瞬間があったよ

もう疎遠になって久しく
君は私のことなんて
どうでもよくなってたろうけど

久々のSNS投稿が
揃いの結婚指輪は無いんじゃない?

すべての気力が失くなって
泣きながら君をブロックした

今度こそ本当にさよならだね
もうこんなにひとを好きになることは
きっと無いよ

2025/04/27 ふとした瞬間

4/5/2025, 11:47:04 AM

自惚れてたのかな。
ちゃんと言葉にしたことが無かったね。

小さい頃から一緒にいるのが当たり前だった。
小学中学高校、ずっと同じクラスだった。
この先もずっと一緒だと信じてた。

卒業式の後で、後輩に第二ボタンを渡す君を見て、わたしは君の一番じゃあないことを、やっと知った。

BSS、って言うんだっけ。
初恋は実らない、とも。

好きだよ。
その一言を踏み出せなかった。

2025/04/05 好きだよ

3/31/2025, 10:26:22 AM


「またね!」
そう言って手を振り、駆け去ってゆくきみ。
僕はきみのことをなにも知らない。
僕が町に出た時に、たまたま出会い、
「この町を案内して!」
と手を引いていった。
このあたりの子じゃあないのはわかる。
地理に疎いし、どんなに繕っても、質の良い布を使った服はごまかせない。
どこかの貴族のお嬢様が、家がいやになって抜け出してるんだろう。
仕方ないから付き合ってあげるうちに、情が移った。

「じゃあね」

ある日、きみは「またね」ではなくそう言って去った。
それからきみは現れなくなって。
半年後、この領地のあるじさまの一人娘が、病ではかなくなったというニュースを、新聞屋が号外で配った。
新聞の似顔絵は、まぎれもなくきみだった。

数年後、僕は騎士になって、あるじさまに仕えることになった。
あるじさまの騎士になったことで、お屋敷内を歩くこともできるようになった。
きみの瞳と同じ色の紫蘭を持って、お屋敷の裏手の墓地へ向かう。
墓に花を供えて、語りかける。

「会いに来たよ」

紫蘭の花言葉は、「あなたを忘れない」

2025/03/31 またね!

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