11/16/2024, 1:07:53 PM
その細い身体をかき抱いた。はなればなれになるなど無理だった。それほどまでに自分はかのひとを愛してしまった。この想いを押し留めることなどなんぴとにもできやしないのだ。
「はなればなれ」24.11.16
11/15/2024, 12:49:00 PM
「それ、どういう意味だ?」
「えっ、と、ね」
無垢な瞳をこちらに向けて小首を傾げたかのひとの姿が子猫のようで思わず頬が緩みかけるが、それを隠して姿勢を正す。
「子猫」24.11.15
11/12/2024, 12:30:42 PM
「付き合ってること、あんまり周りに言いたくないんだ」
「なんで」
「その、どうやって人前で恋人らしく振る舞えばいいか、わからない、から」
「なるほどね……なんか、お前らしいや。まぁ、オッケー。それで行こ」
「いいのか」
「それはそれでスリルがあるっしょ」
にぃっと明るく彼は笑った。自分のどうしようもないわがままも容認してくれるなんて、これが恋人扱いというものなのだろうか。そうであるのならば、ぽんぽん言い合うことの多かった友人という間柄が長かった分、まだまだ慣れそうにはなかった。
「スリル」24.11.12
11/11/2024, 2:01:02 PM
かのひとは少々世間に疎くはあるが飛べない翼を持つ籠の鳥ではないのだ。自分を選ばない可能性も大いにある。待ちぼうけの時間にそんなことにまで考えが及んでしまい、鼻の奥がツンと痛くなる。
「飛べない翼」24.11.11
11/9/2024, 2:09:24 PM
かのひとの控えめな笑顔が脳裏をよぎる。それを大輪の花が咲いたようなものにするのが自分の役目ではないのか。ぐっと握った拳に爪がめり込む。
「脳裏」24.11.9