さゆ

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「付き合ってること、あんまり周りに言いたくないんだ」
「なんで」
「その、どうやって人前で恋人らしく振る舞えばいいか、わからない、から」
「なるほどね……なんか、お前らしいや。まぁ、オッケー。それで行こ」
「いいのか」
「それはそれでスリルがあるっしょ」
にぃっと明るく彼は笑った。自分のどうしようもないわがままも容認してくれるなんて、これが恋人扱いというものなのだろうか。そうであるのならば、ぽんぽん言い合うことの多かった友人という間柄が長かった分、まだまだ慣れそうにはなかった。

「スリル」24.11.12

11/12/2024, 12:30:42 PM