【タイムマシーン】
タイムマシンで過去へ戻ることが出きるならば。
俺はあの頃へ、戻るだろう。
君とずっと一緒に居ようと、誓ったあの頃へ。
とても幸せだった。
毎日が、キラキラと輝いて、心が踊るような日々だった。
そんな幸せな日々は長くは続かないものだ。
突然君が倒れたのだ。
仕事の疲れが強く出た結果だ、そう医者は言った。
こんなになるまで、気付けなかった自分が憎かった。悔しかった。
疲れなら暫くしたら元気になる、そう軽く考えていた。
でも、君はなかなか目を覚まさなかったのだ。
ただの疲れじゃなかった。風邪じゃなかった。
見つかりにくい病気で、進行も進んでいる、と。
医者から改めて告げられた時には、苦しくて、苦しくて、俺が泣いても叫んでもどうにもならないのに、涙が、出た。
そのまま君は、俺を残していってしまった。
あの頃へ。戻りたい。
君のいた、輝く日々へ。
もし、戻れたならば。
俺は、君に。
今まで伝えきれていない愛を、伝えるよ。
「、ッ、愛して、るッ」
るあ
【特別な夜】
夜空に輝く星を、
君の隣で、見れる幸せを噛み締める。
今日は特別な夜だ。
「、きれい」
そんな君の呟きに、口からポロッと言葉が落ちた。
「、、好き」
星なんかよりもずっと綺麗で、可愛い事なんて、ずっとずっと、隣で見てきた俺が、一番知ってる。
なのに。
月明かりに照らされた君の顔は、いつもよりずっと眩しくて。
「急に、なに、//」
素っ気ない態度を取りながらも僅かに赤く染まっている君の頬に、思わず笑いが溢れる。
好きだなぁ。
君の事を考えていたら、キスがしたくなってきた。
君のほんのり赤い頬に手を伸ばし、顔を近付ける。
キュッと目を固く閉じる君。
心の中で"愛してる"なんて最大の愛を伝えながら、君の口に触れる。
いつもと変わらない、特別な夜。
2人だけの空間で小さな音が響いた。
るあ
【海の底】
海の底に、沈んでいく。
深く、深く。
もう、意識も持たなそうだ。
懐かしい思い出が流れるように出てくる。
所謂、走馬灯、というやつだろう。
出てくる思い出には、いつもあなたがいる。
最後に見たのがあなたでよかった。
必死に僕を助けようとしてくれた、あなたで。
僕の勝手な行動だったのに、必死で止めようとしてくれて。
僕は嬉しかったよ。
あなたにあえてよかった。
でも、最後くらい笑顔が見たかったな。
あなたの笑顔が大好きだったから。
涙でぐちゃぐちゃな顔も、悪くはなかったけど。
どんな顔でも好きだから。
苦しくなってきた。
もう、酸素が無いらしい。
段々と、ぼんやり靄がかかっていく意識。
最後の力を振り絞って呟く。
「ありがとう」
自分の口から出た泡が綺麗だ、そう思った。
浮かんでいく泡とは反対に海の底に向かって体が沈んでいく。
もう、思い残すことは何もない。
ほとんど何も見えなくなっている目をそっと閉じ、僕は意識を手離した。
るあ
【君に会いたくて】
毎日、毎日、何をしても上手くいかない。
あれはいつだっただろうか。
君が、居なくなってしまった、あの日から。
それは、突然のことだった。
「ごめんなさい、大好き、でした。」
なぜ、そんなことを言うのか。
「ッ、待って!」
あの時君は、目に涙を浮かべていた。
どうして、そこまで君が苦しむのか。
今でも考えてしまう。
いつまでたっても戻ってこない君に会いたくて、会いたくて、仕方ないのに。
何がいけなかったのか。
愛は限りなく伝えているつもりだった。
君に会いたくて。
君の事しか考えられない。
会いたいよ。
るあ
【閉ざされた日記】
俺が日記をつけ始めたのはいつ頃だっただろうか。
ただ思ったことを書いて、書いて、書いて。
何を書いたのかも覚えていない。
今日書いたことは、好きな人について。
大好きで、大好きで、仕方ないのに。
絶対に叶わない恋をしてしまった。
辛い。吐き出してしまいたい。
でも、そんなことをすれば、あいつにも迷惑がかかってしまう。
そんな思いを。
何も言わない、聞き上手の紙に吐露した。
この日記は俺の心に閉じ込めて。
閉ざされた日記を見られることの無いように。
るあ