甘い雨に上向いて口を開けて
甘い飴をつま先で跳ね上げて
オレンジジュースの降る夕立
肌に当たっても炭酸水ほどにしか感じなかった
買ってもらった大きな傘に
かわいくないって文句を言って置きっぱなし
毎日浴びてた愛はあたりまえだった頃
「柔らかい雨」
私の前に突如現れた予言者はいいました。
あなたは今夜寝る前に。
そこまで思い出して、思い切り吹き出した。
凄いなめちゃくちゃ当たってる!
帰り道悔しくて泣いてたら、通りすがりのちょっとデラックスな、お姉さんが足を止め。
「一回だけだよ?」
とおもむろに見せつけるようにそのたわわな腹肉をつかんで
「寄せて!上げる!」
と体を張ってくれました。
不意打ちだったので、泣きながら、涙が出るほど笑いました。
「泣いててもいいから笑いなよー」
のほほんと去りかけたお姉さんはふと振り返り
「私の予言当たるのよ。あなたはきっと幸せになれる。あなたは今夜寝る前に、寄せて上げるを思い出して笑うわ」
「眠りにつく前に」
過去って変えられないから
永遠に
とんでもない恥を晒したあの時も
のたうち回って思い出して
自分が忘れようとしようが
いいこともわるいことも
なにげなく口にした一言が
誰かの気持ちを救っていたかも
自分が忘れていたとしても
「永遠に」
土砂降りの雨を降らす黒い雲すらすり抜ける。隠し切れない暗がりで、目を凝らすわずかな時間稼ぎでいい。
二度と来ないチャンスなら、殴られても蹴られても手を離さずに捕まえる。
どうしてもこの人でなければいけなかった。
雲の向こうで神鳴りは見咎めるが、うまく隙をついた罪は成就した後です。
罰ならこれからいくらでも、体当たりしていくつもり。
ただひとつ、痛む拳を引っ込めて諦めてくれたこの人は、気の迷いだと見逃して下さい。
「暗がりの中で」
寒くなってきたから、おかえりの飲み物が温かいのに落ち着いた頃、今日はミルクティーを飲みながら君が愚痴る。
「このメーカーのチョコレートそういえばあんまり冷たくなかった。焦がしキャラメルに目が眩んでた」
そうだね新作チョコレートの季節だから、コンビニ袋片手にニコニコして帰ってきたね。
「チョコレートはね猪口冷糖(諸説あり)だから舌の上でとろける時ひんやりしてなければならないのです」
つまりカカオバターの割合がどうとかいう話らしい。
僕チョコレート嫌いだからって言った時、滅多矢鱈にびっくりした顔されたの思い出したよ。
これから僕が貰うチョコレート全部君にあげるから、とミルクティーを飲みながら心に決めたのでした。
「紅茶の香り」