ルーズリーフとシャープペンシル、消しゴムが、言葉をつづる道具でした。
長い事、上手く使いこなす事が出来なくなりました。
書き込むのはほとんど住所名前電話番号。まるで判子のようでした。
最近はスマホに直接打ち込むので、脳を使う部分が大分変わった気がします。
一度平仮名で入力して変換する手間が悪さをするのかしっくりきていません。
昔だって記憶の怪しい漢字は携帯で変換して、確認しながら書いたもんなのに。
それでも思い出しました。
言葉は何度使っても無くならない材料です。
どこにいても頭の中でこねくり回し遊んだのを覚えています。
何度でも、削って付け足して書き直して全削除すら簡単に出来るんですから、あせることはないのです。
「忘れたくても忘れられない」
消防車の給油口の多くは車体の上にあり、ガソリンスタンドの店員である僕は数少ない消防車の上に登った事のある一般人です。危険物取扱資格は持っていますが。
給油していると、車体や備品のチェックを済ませた消防士さん達が登ってきて囲まれます。円陣を組む感じです。
給油が終わるまで消防士さんたちが雑談したりしてるわけですが、そんな時伝統的ジャパニーズパワハラ指導の片鱗を感じることがあります。
僕の偏見の可能性もおおいにあります。
皆さん普通のおじさんお兄さんと一見変わりませんが、目つきが一瞬で変わったりします。
日本の平和と安全を守ってくれる人達に感謝です。
「鋭い眼差し」
※書いた人はもちろん消防士でもGS店員でもありません
バスを待つ。
よく晴れた空を見上げると、視界の中で一羽の鳥がビルのてっぺんから飛び立った。
珍しくもない。
いつものように時刻通りにくる事のないバスが、昨日は5分、一昨日は10分遅れたほどの違いでしかなかった。
今日はすでに3分過ぎているのに、55系のバスはまだ来ない。
天高く、なんて言われる秋。
綺麗な円を描いて旋回上昇を続ける小さな黒い点が、あの鳥だったと気がついた。
隊列を組むでなく、単独の渡り鳥。
遠い旅路をつなぐ、はじめの一歩の瞬間だった。
いってらっしゃい。
そこからでもまだ見えない地平線の向こうまで。
「高く高く」
子供のように、大人になりたいと考えている。
ひとつ年上のはあなたは大人になりかけで、だからこんなふうにあわてたりはしないのだろう。
音質は良いけれど充電が持たないイヤフォンと、充電の持ちはいいけれどバッテリー切れを知らせる音が不愉快なイヤフォンの話をしたら、その日の別れ際までそれを気にしてくれていて驚いた。
そして次の週には、音質の良い充電の持ちがいいイヤフォンと、充電の持たない不愉快なバッテリー切れの通知音のイヤフォンに変わっていてもっと驚いた。
「子供の頃から色んな物を分解して時々直せなくなって怒られた。多分一生変わらないな」
そんなあなたが、ついていくのが大変だって頭を抱える分野の勉強ってどんなものだろう。
あなたの後ろを追いかけても追いつける気がしないから、先回りして待ちかまえる事にした。
無理して背伸びして駆け足で、あなたより先に。
「子供のように」
去年の今頃はまだ帰宅部だった君と、すっかり日が落ちるのが早くなった夕暮れを歩いて行く。
猫を飼い始めて半年。
あっという間に大きくなったと、いつも笑っているような目がさらに垂れる。
羨ましいのは君か猫か。
初めて入った君の部屋で視線を感じれば、顔半分でこちらをうかがう可愛いさに胸がきゅっとなる。
君が座った途端にとことこやってきてするりと肩に腕を掛けて抱っこされるのが当然の顔。
うらやましいのは。
「放課後」