バスを待つ。
よく晴れた空を見上げると、視界の中で一羽の鳥がビルのてっぺんから飛び立った。
珍しくもない。
いつものように時刻通りにくる事のないバスが、昨日は5分、一昨日は10分遅れたほどの違いでしかなかった。
今日はすでに3分過ぎているのに、55系のバスはまだ来ない。
天高く、なんて言われる秋。
綺麗な円を描いて旋回上昇を続ける小さな黒い点が、あの鳥だったと気がついた。
隊列を組むでなく、単独の渡り鳥。
遠い旅路をつなぐ、はじめの一歩の瞬間だった。
いってらっしゃい。
そこからでもまだ見えない地平線の向こうまで。
「高く高く」
10/14/2024, 4:04:20 PM