以前の私はとかく「子どもの頃は……」と思い出話を披露したがったけど、現在進行形で子どもに過ぎないことに気づいてからは控えてます。
(子どもの頃)
相手の日常と自分の日常を擦り合わせて、そこから新しい日常が構築できると安易に考えていたあの頃。
(日常)
「ねえ、どの色がいいかな?」
「うーん、どれも似合ってるから決められないな」
きみが好きな色でいいんじゃない?
優しい言葉と甘い笑顔。
仕事で使うボールペンの軸色。バスルームのタオル。旅行に着ていくワンピース。新しいルージュ。
ねえ、どうして。
あの子に訊かれたときは即答したくせに。
なんでわたしにはそんな、ひたすらに優しくておざなりな言葉だけ、投げて寄越すの。
(好きな色)
いろいろあって久しぶりにここへ来た。
そうしたらお気に入り登録したひとのなかにも更新が止まった方がちらほらいた。
ひとりは、毎日ほぼ決まった時間に投稿する、たぶんずっと歳上のひと。何気ない日常の出来事や思い出を書き綴る言葉の端々から、とても物知りであることがうかがえた。
もうひとりは、もしかしたらまだ学生かもしれない。最後の一文でハッとさせるタイプのショートショートをよく書いている。有り体に言えば少し嫉妬していた。息抜き程度にのんびり構えていたアプリで、読みたいけど読みたくない、そんな気持ちにさせられるとは思ってもみなかった。
最後のひとりは、上のふたりよりずっと短い投稿のひと。たった一文だけの日もざらだ。でもいつも、胸にスッと飛び込んでくるような言葉を持っている。こういうのを、箴言というのだろうか、なんて思ったりした。
自分のことは棚にあげて淋しくなっている。
早く戻ってきてほしいな、なんて。
(あなたがいたから)
惜しんでも取り返せない、失われたお題のあれやこれや。
しばらく不定期になります。
(失われた時間)