はな

Open App
4/12/2024, 12:54:16 PM

遠くの空へ、羽ばたいて。
鳥を見つけた。灰色の翼だった。
他には鳥はいなかった。ひとりぼっちだった。
それなのに。
鳥は羽ばたいた。青い空に。
何が待っているかなんて、全く分からないのに。
あ、わたしとは違うなって、何故か思った。
わたしはいつも何かに縛られている。
人に合わせようって、普通のまま生きようって。
そんなことばかり考えてた。
いつか、抜け出すことは出来るのかな。
でももし出来なくたって、別にいい。
でもちょっとだけ、思った。
綺麗だなって。
わたしもあんな風に、羽ばたけたら。
少しだけ鳥の翼を眺めて、そしてまた。
わたしは、日常に帰る。

4/7/2024, 10:19:14 AM

夕日と一緒に、沈んでしまえ。
「夕日見に行こう」「いいよ」
って、たった二言。
気付けばもう、港に着いていた。
沈んで見えなくなる寸前。
ギリギリセーフなんて笑いあって。
綺麗、なんて言葉さえ出てこないような。
わたしたちには、あまりにも美しすぎる光。
それも、すぐに消えてしまう。
朝が来ればまた日は昇る。
そう知っていても、何故か寂しさが残る。
あなたのこと。ほんとは。
「--だった」「ん? なんか言った?」
この気持ちには、二度と光は差さないけど。
「何も」
一緒に沈んでしまえ。
「帰ろ」「うん」
完全に沈む直前の、淡い一筋の光。
それが、わたしたちの背中を照らした。

4/6/2024, 12:17:45 PM

君の目を見つめてたら。
君の目は綺麗。
何故か見てしまう。不思議と人を惹きつける魅力がある。
優しさとか強さとか、そんな見えないはずのものが滲み出している。
ちょっと長めのまつ毛、茶色味がかった瞳。
それ以上近付いてはいけないような、それでいてどこか懐かしく、もっと眺めていたいような。
堂々と主張しているようで、少し震え、怯えているような。
君に聞きたい。
君の目には、これまでいったい何が映されてきたのですか。
君の目の奥に残る記憶には、わたしの姿は、少しでも刻まれていますか。
別にわたしの事なんか知らなくていい。触れられなくたっていい。
そう思えたらいいのに。叶わない事なのに。
叶わない事だから。
わたしは、君の目が好き。
君の目を見つめてたら、ちょっとだけ、君の本音が、見える気がするから。

4/4/2024, 5:28:06 AM

ひとつだけ選ぶなら。
どっちがいい?って聞かれて。
どっちでもいいって言うのは、優柔不断?
みんなに合わせますじゃ駄目?
ひとつに絞らなきゃ駄目?
ひとつだけ、ひとつだけって。
それが誰かを傷つけるかもしれないのに。
選ばれなかった方を推す人もいるのに。
わかってる。
決めなきゃならないとわかってる。
それでもつい、迷ってしまう。
ひとつだけ選んでって、残酷だな。
わたしはまだ大人になれない。
ひとつなんて少なすぎる。
わたしの人生は、何十年も続いていくのに。
ねえ。
ひとつじゃなきゃ、駄目ですか。

4/1/2024, 12:15:40 PM

エイプリルフールの嘘。
もう嫌いって嘘をつく。
好きだよって嘘をつく。
どっちの方が、いいのかな。
嘘なら本音が言えるのかな。
あなたの優しさを、言葉で返せるかな。
涙を隠せるかな。
最後に嘘だよって言えば、全部なかったことにできるかな。
ついた嘘を真実にしようとしちゃ駄目かな。
嘘だっていう嘘をついてもいいかな。
馬鹿みたいな気持ちも嘘にしようかな。
嘘だって思われたまま終わっちゃおうかな。
それが嘘と気付いてない振りなんてできるのかな。
言い訳も嘘で塗りつぶせないかな。
あなたが逃げるのを、止められるかな。
嘘が、あなたを救えるのかな。
なんて思って。
嘘に嘘を重ねた日々を見下ろして。
また口を閉じる。

Next