永遠に君と居たい。
君が朝僕の横で笑って。朝ごはんを作って、コーヒーを入れて、僕を起こす。僕は朝に弱いからしばらくごねて、そんな僕をみて君がため息を着く。それと同時に僕が飛び上がって君を抱きしめるんだ。
優しい、幸せなこんな世界なら、どれだけ救われただろうか。
もう1つの物語なら、僕が僕でさえなければ、君と僕は繋がれて幸せになれるはずなんだ。
酷いじゃないか。僕が君のことを好きだと気がついているのにあくまで知らないフリだなんて。酷いじゃないか。
こんな事を考えたくは無いけれど、君が君でさえなければ、僕は幸せだったんだ。
紅茶の香りが鼻について、酷く顔を歪めた覚えがある。
美しいものを見るとつい顔を歪めてしまう。そんな癖がついたのは何時からだろうか。
別に君が見つけた美しさを否定したい訳じゃないけれど、あまりにも紅茶のゆらぎに乗って映る君の顔が美しかったから、どうにも、机に咲いた美しい花も汚らしく見えてしまった。
行かないでと嘆いたとて、振り返るだけなのでしょう。
だって言っていたじゃない。
「我武者羅に進み続けることだけが良いのではない。疲れたら立ち止まれば良い。たまには振り返って逆戻りするのも大事だろう。そこには今しか見えない新たな道があるはずだ。また進めば良いとも、前を向け、上を見ろとも言わぬ。ただ、下を向いて涙を流すのも、怒りに震え物に当たるのも、ぼんやりと虚空を描くのも良いでは無いか、それらは全て自分の為になる。その後にどうするか決めれば良い。周りからしたら最悪の結末でも、貴方からすれば、きっと最高のハッピーエンドになるはずだ。」なんて、ずるい人ね。貴方がそれを私の目を見ていうせいで、私は諦められないのよ。
始まりはいつも私からだった。あなたの目から出た糸の先。私の後ろを見渡す目。一体誰を見ているの?貴方といつも一緒に居たいのに、あなたと一緒に居ると寂しいの。
ひとりぼっちみたいよ。
あなたと目はあってるのに、あなたの視線の先は私じゃない。いつからだったっけ。いつからこうなっちゃったんだっけ。あぁ。そうか、5月。私の姉が亡くなった日。
そうね、そっか、そうだよね。変わったのは貴方じゃなくて私。あなたは私を愛してくれていたのにね。ごめん。
貴方のことを愛しているのに、一緒に居たいのに、今では貴方と一緒に居ると、一緒に痛い。
さよなら愛おしい人。さようなら。愛しているわ。愛しているけれど駄目なの。
もう私は貴方を愛していない。お願い。戻れないのよ。だから、私を見ないで。