終わらせないで、幸福な夢でさようならだなんてしたくないわ。
あなたは自分で自分を終わらせたいのでしょう?存在していい理由を必死に探して、見つけられないせいで死んではいけないと考えるせいで、そのせいで追い詰められて、自分を終わらせようとするのでしょう?
いるだけでいいのに。
どうすればいいの?君を本気で愛していたのに。今、目の前にいるのは愛する人の亡霊。君と話して、収拾がつかない内に返事をして、一緒に笑う。その時だけは、楽しいと思えたのに。
どうすればいいの?君はどうすれば、生きるの?愛する人の亡霊にキスは出来ない。
人間というものは何なのだろうか。キャンドルの火のように揺れめく心を持ち、キャンドルの蝋のように心によって身が犠牲になる。
私たちは本当に人間なのだろうか。人間という型にはめて作られたただのアンドロイドでありうることはないのか。それこそ、電気羊のような、私たちは神の作ったロボットのペットでは無いのか。その可能性はゼロなのか。
人間が人間の招待を知った時に人間は自身を人間だと言うことが出来るのか。
人間というものは何なのだろうか。
また会いましょうと背を向けて橋から三鷹の駅へと向かって歩いていたけれども。貴方からの返事がなかったから振り返ったのよ。そうしたらあなた、こっちを穴があきそうなくらい見つめてくるんだもの。貴女の深くて、黒くて、大きい美しい瞳。その目、大好きよ。 意地でもさようならなんて言ってあげないわ。何があっても、またねとしか言ってあげないんだから。
またね。気をつけて帰ってね。と、もう一度言って私は背を向けた。
飛べない翼を持って、重い翼を持って。飛べない翼を持った人を助けて、自分の翼を重くして、何が楽しいのだろう。そんなに重い翼なら捨ててしまえばいいのに。