バズ母

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8/26/2023, 9:16:05 PM

私の日記帳

私の日記帳にはある秘密が書かれている。
私は4人家族で、両親と三つ年上の兄がいる。兄は大学一年生で私は高校生。両親は共稼ぎで私が高校入学してからは残業も多くなり、私が兄の分の食事を作ることもあった。兄は頭も良くスポーツ万能で、サッカーをやっている。小さい頃から勉強を教えてくれたり、泣き虫だった私をいつも笑わせて励ましてくれた。

私の秘密とは、兄を兄としてではなく1人の男として愛してる。私の日記帳には兄への想いが綴られている。兄と二人っきりになりたいから、両親が帰ってこない事を願っている。兄と手を繋ぎたい、甘えたい、キスがしたい。そして、抱かれたい。
そんな想いが日記帳に書かれている。

その日、両親は二人とも残業で遅くなると連絡がきた。私は兄と食事をして、それぞれの部屋に戻っていく。いつものように日記帳に兄への想いを書いていると、いつの間にか眠ってしまった。
人の気配がして目を覚ますと横に兄が立っていて、私の日記を読んでいた。
一瞬で血の気が引いた。言葉が出でこない。立つこともできず、手が小刻みに震えている。もうおしまいだ。兄は私を軽蔑するだろう。一緒に生活できないと、この家を出で行くかもしれない。私はこれからどうやって家族と生活していけばいいのか、死んでしまいたい。
その時、兄がそっと私を抱きしめ、私の目をじっとみると優しく唇を重ねてくれた。それからゆっくりと二人はベッドに入り抱き合った。

しばらくして両親が帰ってきた。リビングで仲良く映画を観ている二人を見て、
「二人とも明日は学校でしょ。早く寝なさい」
と言う。
私達はそれぞれの部屋に戻る。
私の日記帳にはこれから二人の愛が綴られていくことになるだろう。

8/25/2023, 10:49:38 AM

向かい合わせ

昔、私がまだ小学生低学年の頃、両親と妹で鹿児島県の祖母の家に行った。 東京から鹿児島県は本当に遠かったけれど、向かい合わせに座る電車はとても楽しかった。
新幹線も座席をくるっと回して向かい合わせにする。お弁当や冷凍みかん、お茶を買って家族4人で顔を見ながら食べるのは最高に楽しかった。

ある年は新幹線を使わずに寝台車に乗った。寝台車は最初から座席は向かい合わせになっていて、夜になると車掌さんがベットを作りに来てくれた。夜、カーテンを開けて見る外は真っ暗で、駅が異様に明るかったのを覚えている。

あれから何十年も経ったけれど、今だに向かい合わせの電車に乗ると嬉しくなる。でも、両親も妹もいない向かい合わせの席は、知らない人と向かい合わせになってしまう。
それは少し嫌だなぁ。
やっぱり向かい合わせの電車は家族と乗るのが一番だ!

8/24/2023, 10:37:49 PM

やるせない気持ち

僕が勤めている会社はいわゆるブラック企業である。残業は130時間を優に超える。
そんな会社に今年も新人が入ってきた。この子も半年で辞めるだろうと思っていた。しかし、真面目な彼女は、どんなに帰りが遅くなっても頼まれた仕事は文句も言わずにやっていた。
嫌な顔をしないので、先輩からは後から後から仕事を頼まれる。
いつも「わかりました」と返事をし、黙ってその仕事をやる。
彼女を見ているとやるせない気持ちになる。
なのに僕は黙って見てるいるだけだ。彼女を助けると自分の残業が増えてしまうと思ってしまう。
彼女はみるみるうちに痩せていった。口数も少なくなり、目も虚である。それでも、上司は何も言わない。
そしてある日、、、。
彼女はマンションの屋上から飛び降りた。自殺だった。
上層部から上司は呼ばれたがそれで終わった。何が話し合われたかはわからないが、何事もなかったようにまた同じ日々が続く。
彼女に声さえかけれなかった自分にも罪はあるが、自分が壊れないための自己防衛だと自分に思い込ませる。
こんな風に思っている人は、この世の中には沢山いるだろう。きっと自分を守ることに皆んな精一杯だ。
何が悪いんだと思うが、自分の心が叫んで壊れていくのがわかる。
今日も残業で終わるのは夜中だろう。
仕事が終わったら、彼女が飛び降りたマンションに行ってみようか、、、。

8/23/2023, 9:23:49 PM

海へ

海へ向かって走った。
叫んで泣きたいのに声が出ない。なんでだ、なんでなんだ。

19時、携帯が突然なった。母が交通事故に遭い先程亡くなったという電話だった。
母は一人暮らしの僕に米や食材、日用品の入った荷物を宅急便で送るため、それを店に持っていく途中で事故に遭ったそうだ。
信号無視をして母に突っ込んできた男は、酔って歩くこともできなかったそうだ。
道路に散乱した荷物の中に手紙が入っていた。

幹太、元気か?
ちゃんとごはん食べてるか?
母さんが時々、行って作ってあげられりゃーいいけど、遠いし神奈川の湘南なんて行ったこともねぇ
海の近くは気持ちいいだろなぁ
母さん、海なんて子供の頃行ったきり、行ったことねぇ
幹太、辛いことがあっても頑張りやー  頑張ったらきっと夢は叶うからな
母さん、応援してるから
じゃあな、たまには電話しろ
          母より

母さん、これから帰るからな。
落ち着いたら母さん一緒に海に来ような。どんなに小さくなっても俺がこの海を見せてやるからな。
待ってろや、、、。

8/22/2023, 1:12:40 PM

裏返し

「嫉妬は愛情の裏返しの表現である」なんて言い訳しても、スマホも勝手に見たし、時々、後をつけたりもした。
「おまえの嫉妬は度が過ぎる。も〜耐えられない」
だってあんたがよそよそしい態度とるからいけないんでしょ。
結局、浮気はしていなかったみたいだけど、、、。
彼のお説教が止まらないので、「嫉妬は愛情の裏返し」の裏返し〜で思い出した事を考える。

誰でも一度はやった事があるだろう。靴下の裏返し。靴を脱ぐと靴下の指のところ左右両方からピロピロピロ〜って糸がでている。
まーいいかって直さずまた靴を履く。
流行の服を試着して、定員さんに見てもらうと
「お客様〜こちらの服はこちらの方が背中になります」
と言われた事がある。
そんなくだらない事を想像していたら可笑しくなって軽く吹き出す。

吹き出した私を見て彼氏が
「おまえ今、笑っただろ。何が嫉妬は愛情の裏返しだ!おまえは俺をバカにしているのか!」
も〜裏返し裏返しってうるさいよ〜。また笑ちゃうよ〜。
ふと彼氏のTシャツを見るとタグが表に出ている。
やだ〜Tシャツ裏返しじゃん。
も〜耐えられない。爆笑。

あ〜彼氏出て行っちゃった。
Tシャツ裏返しなのに、、、。

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