【一輪の花】
たった一人だけ私を気にかけてくれた。
それはあなただった。
私は生まれた頃から体が弱く、病弱で部屋から出ることはほぼなかった。
いつの間にか家族も私の部屋を訪れるのは食事と身の回りの世話をするくらい。
会話すらなくなっていった。
そんな時。
部屋に一つだけある窓の淵から小さな手がひょっこり現れた。
何かと最初は怖かったがすぐにその手は引っ込められた。
ふと見ればそこには可愛いピンク色の牡丹の花が置かれていた。
一体誰が?
そんな疑念を抱きつつもその花は毎週私の部屋に添えられた。
顔も知らない相手なのに。
それでも私の心は嬉しさで暖かく染まっていった。
【魔法】
私にも魔法が使えたら。そう思ったことは誰しも一度はあるのではないか。
小学生の頃TV でやっていた、おジャ魔女どれみというアニメが大好きで毎週観ては私も魔女に憧れた。
今でも魔法が使えたらと願う。
それでもやはり私には魔法は使えない。
【君と見た虹】
虹の麓には宝物が埋まってる。
子供の頃何かの絵本で読んだ気がする。
あれはいつの日か。
君と雨上がりの公園で一緒に虹を見つけたのは。
今では良い思い出になっている。
僕達は虹の麓を探したけれどそれはあまりにも遠すぎて結局見つけ出すことはできなかった。
その代わり僕達は小さな箱に自分たちが大事にしていた宝物をしまい、公園の木の下に埋めた。
大人になった今。
君はその日のことを覚えているだろうか。
君は父親の転勤をきっかけに転校してしまい僕とはそれっきりになってしまった。
いつかまたあの日のように君とあの公園で虹を見てみたいな。
その時はまた虹の麓を探しに行こう。
きっと僕達だけの宝物が見つかるはずだから。
【ひそかな想い】
届かないと知りながら、心で想うはあなたのことばかり。
どうしようもない。
だってあなたのことが好きなんだもの。
【あなたは誰】5
体がみるみる縮んでいく。
一体どうなっているのか。
私はどのくらい縮んでくのか。
まさかこのまま消えて…
「そんなの困る!…あっ、止まった」
ある程度縮むとそれはやんだ。
「まあ何はともかくこれであの扉が通れるわ!」
体が元通りの大きさに戻るかは不安だけど…。
ま、なんとかなるでしょ!
ポジティブなのが私の良いところ!
「じゃあ、レッツゴー!…って開かなーい!?」
えっ何どう言うこと!?なんで開かないわけ!
?「開くわけないだろうお嬢さん。私には鍵が掛かっているのだから。」
「!?」
何ッ!?またどっからか声がする!もう何が起きても驚いてなんかやらないんだから!
「あなたは誰!?」
「扉だよ」
「そうよね!そう来るわよね!」
扉「さっきも言ったが、この扉には鍵が掛かっている。開くには鍵が必要だ。テーブルの上に手紙と一緒に置いていなかったかい?」
「手紙…」
ああ…ここにきてスチール回収するのね。
「あったけど、鍵なんてなかったわ」
扉「おや、それは困ったね。鍵がないとここを通ることは出来ないんだよ」
「ならどうすれば…」
私は立ち尽くした。