コノハ

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【一輪の花】

たった一人だけ私を気にかけてくれた。
それはあなただった。

私は生まれた頃から体が弱く、病弱で部屋から出ることはほぼなかった。
いつの間にか家族も私の部屋を訪れるのは食事と身の回りの世話をするくらい。
会話すらなくなっていった。
そんな時。
部屋に一つだけある窓の淵から小さな手がひょっこり現れた。
何かと最初は怖かったがすぐにその手は引っ込められた。
ふと見ればそこには可愛いピンク色の牡丹の花が置かれていた。
一体誰が?
そんな疑念を抱きつつもその花は毎週私の部屋に添えられた。
顔も知らない相手なのに。
それでも私の心は嬉しさで暖かく染まっていった。

2/25/2025, 1:33:37 AM