コノハ

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10/27/2024, 12:13:04 PM

【紅茶の香り】

私は紅茶が好き。朝目を覚ますと部屋の中にほのかに茶葉の香りが流れてくる。まだ眠気の残る瞼を擦りながら私はベッドから起き上がった。欠伸をひとつ、背伸びをする。さて、起きなくちゃ。ベッドを降りて私は寝室のドアを開ける。途端、紅茶のいい匂いが私の鼻を占領する。

「おはよう」

"おはよう"。リビングから柔らかく優しい声が私の耳に届けられる。
声の方に視線を向ければ、暖かな陽だまりのような微笑みが私に注がれた。
それに私もおはようと微笑んで大好きな彼の隣に腰を下ろした。

「今日はどうする?」
「うーん…最近寒くなってきたから、ミルクティーホットがいいかな」
「わかった」

そう言えば、彼は慣れた手付きで二つ用意されたマグカップに湯気の立ち上る紅茶を丁寧に注ぎ、牛乳と少しの蜂蜜を淹れてくれた。

「できたよ」
「ありがとう」

私は彼からカップを受け取るとそっと息を何度か吹きかけると口へと運んだ。
たちまち口の中は温かな紅茶と牛乳と蜂蜜を含んだ優しいあまみが広がって喉の奥へと流れていった。

「おいしい…君は紅茶を淹れるのが上手だね」
「そう?」

そう言って彼は少し照れくさそうに笑うと自分もカップに口をつけた。
私の大好きな彼。いつも一緒に過ごした次の日の朝は、必ず私より早く起きて、私が起きる頃に合わせて紅茶の準備をしてくれてる。だけど、本当は知ってるの。あなたが紅茶よりコーヒーが好きなこと。それなのに紅茶が好きな私に合わせて、私のために紅茶を淹れてくれる。だからかな。つい口に出しちゃった。

「…ねぇ、これからもずっと私のために紅茶を淹れてくれる?」
「いいよ」
「…え?」
「え?って、俺今プロポーズされたんじゃないの?」
「ぷろ…、もしかして、口に出てた?」
「うん」
「…」

やってしまった。私はたまに無意識に言葉が口から出ていってしまう。今も心の中で思ったつもりだったのに。

「ごめん、いつもの。だから今のは忘れて」
「悪いけど、それは無理かな」
「え?」
「だって、俺もあんたとずっと一緒にいたいし。だから、先に言われちゃったけど。」
「…っ」
「…毎朝、何時だってあんたに紅茶を淹れる役目は俺だけにして。ずっと一緒にいよう?」


…な~んて、言われてみたい。 

10/26/2024, 10:32:34 AM

【愛言葉】

おはよう。いってきます。こんにちは。さようなら。ただいま。おやすみなさい。
改めて愛言葉なんて聞かれたら、すぐに思いつくのは今の私にはまだまだ少し難しい。普段何気なく口にしている挨拶も相手の存在があるから声を言葉にできる。こういうやり取りもある意味《愛言葉》なのではないのだろうか

10/25/2024, 12:01:46 PM

【友達】

子供の頃は誰にでも話しかけていく子供だったと思う。何にでも興味があった。瞳に映るもの全てがきらきらと輝いて見えた。友達もできて、お互いの家を行き来したり、お泊まり会もたくさんした。だけど、いつからか友達というものがわからなくなった。自分の年齢があがっていくにつれ、周りの環境、関わっていく人間も変わって。子供の頃のようにはいかなくなっていた。友達なんてわからない。

10/24/2024, 3:00:55 PM

【行かないで】

どうして私の手の届かないところに行ってしまうんだろう。仲の良かった友達。いつの間にか隣を見ればあの子はもう居なかった。大好きだった。あの子には何でも話せた。あの子がそばにいてくれればそれだけで良かった。なのに、私は自分からあの子の手を放してしまった。優しくて、可愛くて、性格もいい。あの子の周りにはいつも誰かが傍にいた。私はそれが嫌だった。私とだけ一緒にいて欲しくて、一度その手を放してしまえば、あの子はもう私のもとには戻ってこないのがわかっていたから。メイクやお洒落、付き合う友達も変わってく。あの子が大人の女性になっていく。私の知らないあの子を知る度、私の中に嫌な感情が生まれていく。もう一緒にはいられないんだ。もう手放さなきゃ。自分の感情にもあの子にも向き合うことをしなかった、臆病でどうしようもない私。
だけど、年齢を重ねて今なら少しはわかるんだ。
周りの女の子たちが少しずつ大人の女性になっていく、それについていくことができなかっのは私。勝手なのはあの子もそうであって欲しいと思ってしまったこと。ごめんね。
あの時言えなかった、素直に言えば良かった。

『私を置いて行かないで』
 

10/23/2024, 1:56:42 PM

【どこまでも続く青い空】

見上げた空はどこまでも広く、どこまでも青かった。なのにどうしてこんなにも胸がきゅっとなるのだろう。苦しく、それでいてどこか切ない。手を伸ばしてもそれに触れることもできなくて。そして私はまた涙を溜めた。誰かに気づいて欲しくて、抱きしめられたかった。このまま私は誰の心に触れることなく、ずっと死ぬまで独りなのだろうか。疲れてしまった。人の心に触れることにも、自分がどうなりたいのかも。わかってしまった。私が誰かを求めても誰も私を必要としてない。それがとてつもなく虚しいのに、それなのに、どうしてこんな呆れるほどまだ出会えぬ君を手放すことができないんだろう

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