ポケットの中で手をつなぎそのことが待っていると知らずに歩いた帰り道は今でも舗装のされないまま歩くことができています。
1年先のことはわからないけれど、1000年先も変わらず愛を探しています。
いつかの途中に見た向日葵の陰からあなたのことを思い出す。
私には勿忘草が必要なのよと背の高いことを気にしていたあなたの横顔が誰よりも美しいことを知っていた僕は富士には月見草がよく似合うと言った彼の言葉を否定した。
行き先をなくした僕の日常は影を映すこともなく闇と時を過ごし、なにも知らない帰宅を待つその顔がいとおしい。僕はどこへいったなどと答えのないことを考える素振りだけを知らない誰かたちにみせては日常を繰り返す。
今日の僕は昨日の僕とは違うと言ってくれた誰かの顔が思い出せず思い出そうともせず、ただあたたかいマフラーみたいなあなたの言葉をどこかの奥から引き出す。
あなたの声がききたいです。
いつ行けばあえますか。時間はポケットの中にしまってあります。誰と行けばいいですか。僕はひとりで歩けます。どこに向かえばいいですか。外は雪が降っています。僕のころんだ場所は憶えていますか。あなたの走った道は憶えています。明日むかえに行ってもいいですか。ぎしこぎしこと音の鳴る方へ。
目覚めた時間が少し遅く今日は雪が降っています。足をのばして僕を見ているその顔がおかしくて、もう一度夢をみたくなりました。つけ放しのエアコンの風にプラ容器と書かれた貼り紙が揺れています。行くあてのなくなった僕を認めてくれるように煙草の残りも少ないです。そろそろ出ていかなければならないのに、行き先はまだ決まっていません。あったはずの行き先は多分自分で捨てました。書きかけの詩と一緒に。
旅路の果てに言葉はありますか。あたたかいマフラーのような。
旅路の果てにあなたはいてくれますか。一緒に観て流したあのときの涙のような。