M氏:創作:短編小説

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11/8/2023, 10:55:53 AM

まともに生きる価値が無いから
名前を捨てる

まともに生きる価値が無いから
生命を捨てる

まともに生きる価値が無いから
性別を捨てる

まともに生きる価値が無いから
本音を捨てる

まともに生きる価値が無いから
自分を捨てる

まともに生きる価値が無いから
感情を捨てる

まともに生きる価値が無いから
まともに生きる事が許されないから

まともに生きるなんて…
まともに生きるなんて…

まともに生きたい…
願望だけは抱えてる

さも大事そうに


題名:意味が無いこと
作者:M氏
出演:⚧️


【あとがき】
一度の失敗で存在が許されなくなる時はあります
カエルの子はカエルと親の罪を子供に着せる人間だって沢山居ます
現代だと一部を切り取りさして悪くない行為を大罪だと盛り上げる人も沢山居ます
どんなに丁寧に対応しても献身的に対応しても
今の時代では信頼を取り戻す事も難しいのです
親の罪は子の罪なのでしょうか
一度見た失敗は取り返しの付かない失敗だったのでしょうか
身近な人が放つ悪意ある言葉は絶対的な真実なのでしょうか
M氏は当人が取り返しの付かない失敗をすると切り落とします
一度信頼に置けないと判断するとその人の為に頭を使うのも精神を使うのも苦痛だからです
当人がどう思ってるかは関係無く、なんの関係も無い場所で当人なりの幸せを見つければ良いと考えてます
なのであまり長引くように何も知らない人にばら撒く事はしないようにしてます
あくまで気を使ってるだけですけど
皆さんはどう動いてますか?
皆さんなら出演してくれた彼のような人にどう接しますか?
いつか聞けるのなら嬉しいです

11/7/2023, 11:03:39 AM

顔のよく似た捨てられ子

男児言の葉を紡げず
女児才の芽を芽吹けず

食む毒の味が溶けた身体は人に非ず
重なる術を受け入れぬ身体は利便に非ず

求るは人から逸脱した兵器

父母に見放された幼子は哀れか
利便で裂かれる双子は哀れか

求めるは2つの影
男児の瞳に宿すとする

求めるは1つの影
女児の瞳に宿すとする

重なる術を耐えうる生を交ぜる
産まれた幼子の瞳に宿るわ
3つの影


お題:あなたとわたし
作者:M氏
出演:🎲🔔🧬


【あとがき】
語り口調みたいな創作は難しいですね
捨てられて利用されて使えなきゃまた捨てられて
自分の知らない所で子供まで造られて
哀れな双子とその子供の話です
哀れですよね
幸せになれるんですかね
分かりませんね

11/6/2023, 10:34:18 AM

冷えた風が湿る
ただ外に遊びに出るだけの予定だった
友達と公園に行って
一緒に遊んで
暗くなる前に帰る

季節のせいで早く落ちる日に拗ねて
少しだけなら大丈夫だと友達と笑って
それが悪い事なのは分かってたけど
でも変質者に襲われる程の事じゃない
そうでしょ?

物心ついた頃から可愛い可愛いと褒められた
自分でもそう思える程に自惚れた
だから襲われた
無理やり服を裂かれて口を抑えられて
汚いモノを見せつけられて

殺されてしまうと思った

『レディの扱いがなってないわね』

街灯も遮る路地裏に舞う蝶
指通りの良さそうな濡羽色の髪は艶を帯びながら風を受ける
透き通るような白い柔肌に黒いマニキュア
潤いのある唇には薔薇のような紅

『女は襲うんじゃなくて堕とすのよ、覚えておきなさい坊や』

女でありながら
子供でありながら
彼女の妖艶さに当てられて頬を染めてしまう
彼女と自分以外に誰かが居る事も忘れてしまう
それ程に彼女の生奪の動きが美しかった

『そんなに見つめても何も出ないわよ?』

先程まで助けを求めて泣き叫んでいた自分の頬をソッと撫でられる
ワインレッドの瞳に映る自分は醜かった
涙に鼻水と液体まみれ…彼女とは月とすっぽん

『お嬢ちゃん、貴女はとても聡明な子だと思ってるわ』

恐怖とは全く違う胸の高鳴りが煩い
それなのに彼女の艶のある声は全て聞き取れる
唇の動きも舌の動きも口角の動きも
一つ一つを目に焼き付けるように見てしまう

『だから此処で起きた事は忘れられる、そうでしょう?』

彼女の問い掛けに魂が抜かれるように“はい”と答える
彼女のクスリと微笑む姿も麗しい
“良い子ね”と言葉を最後に置いて彼女は自分に背中を向けた
彼女の姿が見えなくなるのを待つようにパラパラと空が泣く

もしかしたら全て夢だったのかもしれないと思う程の美しさだった
でも自分のお気に入りの服は破かれたままだ
抑えられていた口元はヒリヒリするし
溢れていた涙で頬はキシキシとした違和感を産む

襲われていた事も薄まる程に彼女が美しかった
それだけで全て夢だったのではと考えるなんておかしいのかもしれない
でもそれくらいの美しさが彼女にあったのだ
彼女にもう一度会えるなら恐怖をも受け入れたいと思える

所謂一目惚れに近いものなのだろうか


お題:柔らかい雨
作者:M氏
出演:オンディーヌ


【あとがき】
お題あんま使わなかったけども書きました
柔らかな雨って暖かそうですよね
寒そうなのに暖かそうと言う不思議なイメージです
なのでとある子の複雑な感じのなんかよく分からない何かを書きました
すみません、M氏今凄く眠いんです
脳死で書いてます
もしかしたら書き直します

11/5/2023, 10:40:41 AM

『白姫様、お身体が冷えますゆえ…』

己の視界に刺激を与えてくれる景色は戸に飲まれた
紅葉も枯れ落ちる季節
シミ一つない白一色の薄着物は風の冷たさを柔肌に教える

「婆や、少しで良いの。もう少し外を見させてちょうだい」
『白姫様、お身体を悪くしては神も眉を顰めます』

病を妖の力と呼ぶには信憑性も何も無い
だとしてもこの家は邪を拒む
七々扇家代々の伝統とも言うべきか

~神望むわ邪を拒む純~

簡単に言えば神様に純粋無垢且つ健康な処女を捧げろと言うもの
病にかからぬよう清潔な空間で過ごし
健康的な食事と健全な生活を行い
15を境に神の迎えが来ると言う
迎えがどういう意味かなど自分には分からない
だが自由が一つも無いと言えばそうなのだ
七々扇家の長女は皆同じ運命を辿る

「神も景色を慈しむ心くらいは許すでしょうに」
『妖が付けば神も見放します』
「妖なんて居ないじゃない」
『妖は姿も見せぬうちに生命を奪います』
「まるで子供騙しの御伽噺ね」
『白姫様』

白一色の柔らかな布団に下半身を包まれる
逃げ出さぬようにと足に付けられた枷が軽く引っかかるが老婆はお構い無しだ

『神も仏も妖も邪も総じて在ります。大主様の耳に入らぬよう言葉にはお気を付けください。』

七々扇家で産まれた長女は戸籍に名を残す事も許されない
それなのに産みの親を、家の主を敬えと強要する
家を繁栄させる神とやらへの供物として自分を扱う癖に
滑稽な話では無いのか

「婆やは私の味方でしょ?」
『私は七々扇家の使いですので…』
「そう、公私混同はしてくれないの」

老婆はスクッと立ち上がりそそくさと寝屋を後にする
産まれてこの方この部屋から出た事が1度も無い
外の世界はどんなものなのだろうかと
どれほど思考を凝らした事だろうか
其れに何度蓋をしたのだろうか

ズリズリと布団から這い出て畳を這う
木と金具で造られた古風な足枷は酷く重くて
畳を傷付けぬよう這うのにも一苦労だ

「あら…今日は満月なのね」

僅かに戸を開けて庭を覗き込めば空は暗くなっていた
美しい月が丁寧に整えられた庭木を照らし
寂しさを紛らわせるように星は煌めく
暗い部屋に入る月明かりのように
時と共に動く月のように
己も自由になりたいと望む

「星も地に落ちるのね」

流れる光を目で追い微笑んだ
“きっと自由になれるわ”
そう心の中で呟いてから布団に戻った


題名:一筋の光
作者:M氏
出演:カゴ


【あとがき】
軟禁洗脳って現代でもよく使われてますよね
恐ろしいと私は思います
出演してくれた彼女はちゃんと自由になれますよ
望んだものかは分かりませんが

11/4/2023, 8:30:35 PM

朝7時
どの季節も変わらず太陽が空を青白く染めてくれる時間
慈善事業を中心に営むこの会社の地下で人が囚われてると誰が思うのだろうか
トーストとスープとサラダにコーヒー
質素とも豪華とも言えない典型的な朝食をトレーに乗せて地下に進む

刑務所とあげるには清潔で
ホテルと呼ぶには閉鎖的な廊下を進む
自由に動かせる程の信頼が無いにも関わらず利用価値のある人間を閉じ込めるに相応しい場所
死んでしまったらそれまでだと言う冷徹な思考を持つ人間が多い中で10年近く生き残ってる彼の元へ

少し見ただけではこの扉に鍵がかかっている事さえ分からない
そんな白い扉をノックし、鍵を開ける
とある研究グループを解体した後の逃げ遅れを上手く利用してる
表向きはそういう形だが実際は自由を奪って飼い殺し状態
精神的に苦しもうが悲しもうがお構い無しに決まったスケジュールをこなしてもらう
普通の人間なら精神を病んでいくだろう
白いベッドで寝息をたてている女性のように

『ぁす…』

だが部屋に置いてあるパソコンを弄っていた彼は違う
朝食が来る前には起床し
外に助けを求められないように設定されたパソコンで作業を始める
朝食を持ってきた人間には彼なりの挨拶もかける

研究グループの中でも情報整理を中心とした立ち回りをしていた彼は利用価値がある
とは言え組織に対する忠誠心の薄さと友人間に向ける情の深さが彼に対する扱いを不安視させる
研究グループが解体された後は処分対象の1人を逃がしたと聞く
ならコレくらいの飼い殺しが一番なのだ

朝食をテーブルに乗せても同室している女性を起こす様子の無い彼にため息を付きながら白いベッドに近寄る

『寝かせてやってください、あんま寝れてないんす』

こちらが起こそうとしても彼はその一言で終えた
同室の彼女は精神を病んでいる
研究グループのリーダーと呼べる女性に対する忠義心が彼女を壊したとの事
そんなリーダーは組織もグループも裏切って処理されたのに

『さーせん』

去ろうとした己に声をかける彼に視線を向けた
此処に飯を届ける人は毎日“今日の天気”を問われるのだ
だから自分も素直に天気を教えてやる

『晴れか…あす』

雨の日は聞いておしまいだが雪の日や晴れの日は少しばかり優しげに口角を上げる
マスクのせいでまともに見えないが…雰囲気が柔らかくなって笑ってるように見えるのだ
まるで子を慈しむように天気を復唱してから朝食を摂る
その姿は未だ子離れが出来ていない親のようにも見えた


題名:哀愁をそそる
作者:M氏
出演:👨🏻‍💻


【あとがき】
閉鎖空間の中で正常を保つには人との関わりと外の情報が必要とも言えます
健康的な生活をしていても情報もコミュニケーションも何も無い状態だと精神を病むらしいです
何かしら行動するのが一番だと聞きます
会いたい人に出会えた時に正常な気持ちで喜べるように
彼は人を気遣い人と関わり壊れない程度に息をする
誰かのお父さんって訳じゃないですけど良い父親してますよね

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