白浅凪エツ

Open App
4/2/2026, 12:58:39 PM

【大切なもの】

 大切なもの。そんなものはない。
 この身一つあれば、生きていける。
 自分の力で全部乗り越えていける。
 そう、思ってきた。
 そんな無敵な自分に、酔っていた。
 でも、違った。
 そんな僕をいつも、君は受け止めてくれていたんだね。
 それなのに、僕は壊してしまった。
 今度こそ本当に、独りぼっちだ。
 くだらないプライドに振り回され、ズタズタに引き裂いてしまった。
 退路は、すでに断たれた。
 だから、君に甘えていた自分を、今度こそ乗り越えてみせる。
 もう一度、君と友達になるために。

4/1/2026, 4:10:21 PM

【エイプリルフール】
「☓☓ちゃん、だいっきらい」
 私しかいないはずの文芸部部室に、彼女の声だけがこだまする。
「急に何? ああ、エイプリルフールね」
 いつも通りのダル絡みだ。慣れてる私はページをめくる手を止めない。
 キーンコーンカーンコーン。
 12時のチャイムが鳴る。
「正解。嘘でした〜」
 チャイムが鳴り止むのを待ってから彼女は答えた。
「はいはい、私も好きですよ」
 私もいつも通り、適当に返しておく。
「…え?」
 彼女の間抜けな声を聞き、私は手を止めた。
「ん?」
 予想外の反応に、思わず顔を上げる。
「もう午後だからネタバラシの時間だよ…?」
 視線を逸らしながら、彼女は呟く。
「…あっ」
 じわじわと、私も顔が熱くなる。
「えへへ」
「ニヤつくな!」
 彼女と話すと、いつも調子が狂う。
 素直になれない私は、外の桜へ視線を逃がすのだった。

3/31/2026, 6:56:00 AM

何気ないふりをしても、私にはお見通しだよ?

3/29/2026, 12:06:20 PM

「貴様、自爆する気か!?」
「残念だったな。仲間に後を全て託す。これが罪人である私の"ハッピーエンド"だ」

3/25/2026, 1:21:24 PM

【好きじゃないのに】
「えへへ」
 スカートから露わになっている私の腿を、彼女の髪がくすぐる。
 彼女は、ベンチで本を読んでいた私の前に現れると、突然横になったのだ。私の腿を枕にして。
「一体なんのつもり?」
 訝しむ私を見上げる彼女の瞳は何よりも透き通って見えた。
 ああ、どうして私は、好きじゃないのに、いつもこの瞳に吸い込まれてしまうのだろう。
「☓☓ちゃんの目、綺麗だなって」
 深淵をのぞく時深淵もまたこちらをのぞいているのだ、と聞いたことがある。
 彼女の瞳が、深淵そのものだったようだ。

Next