「また来週、覚えててね?」
「ばっか、覚えてるにきまってんだろ?彼女の誕生日デート!」
クスッと笑う彼氏が手を振る。私も微笑んで振り返す。来週、また会える。
「じゃ、また今度!」
横断歩道の上に足を乗せた彼氏に背を向け、一歩進め…
キギイィイイイイィ!!!!!!!!
「ギャアーーーー!男性が!ちょ、誰か救急車を!!」
お題
突然の別れ より
『フェルナ!!フェルナ!なぁ、そこに居るんだろう?居るなら…返事をしてくれ…俺は、もう…』
大きなコンクリート壁の向こうから、かつての幼馴染みの声。戦争が始まり、彼との国の間に大きなコンクリート壁が設けられ、二つに割れた私達。
貴方は諦めない。だから、手が血で滲んでも、私が見えなくても、泣いて、叩いて叫んで私の名を泣き叫び続けるの。
「ここよ!イヴェルク!!」
『あぁ…フェルナ…!俺、俺、…君に十年、あえないあいだ…何も感じなかった…あぁ…』
懐かしい貴方の声。
貴方の、頭1個高い背が。エメラルドのように美しい目が。紺色のくせっ毛が…忘れられないの。
「イヴェルク…今でも愛してくれる…?!」
『もちろんだよ、フェルナ…!あぁ、君が見たいよ。…会いたいよ…う゛ぅっ…』
胸が痛い。張り裂けそう。こんなにも愛しているのに。1メートルもすれば、貴方がいるのに…
『…っ!何するんだ!やめろっ!…うわぁあっ』
「イヴェルク…?!」
フェルナは思い出した。壁越しの会話は…死刑だということを。もしかしたら…イヴェルクが兵士に捕まった…?!
私は。ためらうことなく。貴方に会うためならなんでもする女よ。
「まって!!」
兵士の鎧がチャリ。となり、足跡がやんだ。
「私は。私はっ…!その男の会話相手よ!!私をおいていくと、また起こるわよ!」
『フェ、フェルナ?!』
「イヴェルク、いいの!」
すると、フェルナは後ろから殴られた気がした。しまった。こっちにもう兵士が…うっ…──
イヴェルクが私の名を叫んだ気がした。
『ルナ…フェルナ…!』
目が覚めたら、薄暗い地下牢にいた。
『あぁ…何でこんなことを…』
血で滲んだ傷だらけの手で私をだくイヴェルク。
そうか。私は…貴方に会いたくて…
「ごめんなさい…わたしっ…わた、しっ…」
涙が止まらなかった。十年。十年見られなかった貴方の顔が目の前に…
『君は…馬鹿だ…こんな無茶を…』
「死ぬときは一緒よ!おいていかないで!」
この再会が最後だと言うことが悔しい。悲しい。
そして、この国が憎たらしい。
『逃げよう。二人で。』
「もちろんよ…貴方のためなら、なんにでもなるわ!」
二人は再会を果たした。
お題
恋物語 より
ぼーん、ぼーん…
振り子時計が真夜中を告げる
ぼーん…
静まりかえる辺り
ぼーん…ぼーん…
日にちがあと7回で変わる
ぼーん…ぼーん…ぼーん…─
何回目だっけ…
お題
真夜中 より
それが、できないんだよ。
できたら幸せなのに。
法律上、どうしようもない事をしてしまった愛人がいても。
その愛人が死刑でも。
お題
愛があれば何でもできる? より
木と木、葉と葉。隙間からこぼれ落ちる陽の光が、木の中の自分にスポットライトを当てる。
空も、知ってるのかな
今日、初めて自分が空を飛ぶのに挑戦することを。なるべく高くて長い木の枝の上をちょこちょこ歩き、先っぽに立ってみる。向こうは果てしない平原、下はふかふかの草地だから心配はない。ってお母さんはいってたから、だいじょうぶ。
少し後ろにさがる。これは後ずさりじゃないよ。
新しい世界に行くための準備。だれだってこうやって一度はさがるんだ。
木の枝を力強く蹴って、真っ直ぐ前を見て、翼を大きく広げ──
新しい場所、新しい世界へ、今…
小さな小鳥が風に乗った。
お題
風に身を任せ より