ぺんぎん

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2/29/2024, 11:54:44 AM

なんだか、ほんとうに惨めだけれど、ほんのすこし、きみが追いかけてくるのではないかと期待して、列車をひとつ乗り越した日がある。浜辺にむかう列車のなかでうとうととまどろんでいれば、これほどまでにたくさんの時間があり、それでも、きみのそばにいれる瞬間はいちども訪れることはないのだと気づいた。

2/22/2024, 12:46:30 PM

きみがわたしに手を振り返すために、片手でどうにか持つ荷物ひとつ、よろめきながら、ぐんと振りあげた右手の指のすきまを、春のにおいがすり抜けていく、キスしてあげたくなって困る

2/20/2024, 4:31:47 PM

かかとにかかと、脚に脚、お腹にお腹、腕に腕、からめて頬を寄せあい、ふたりしっとりと眠った。なにもかもこわくなくなった。たとえば暗やみ。たとえばかなしみ。するどい黒と、あらゆるかなしみはいつもわたしを包んだけれど、きみがとんとんと赤子をあやすようにわたしの背中を叩くので、その間、平気でいられた。こっそりと、きみの腕のなかで少しだけ泣いていたら、ぐったりとつかれてしまいいつのまにか朝になっていた。

1/20/2024, 5:31:05 AM

折りたたみくしを胸ポケットにしまうとき、ただひとつ、ぱちん、とひびき、拍動がくしに絡みつく、まぬけな音に春のぬくもり

1/14/2024, 2:51:47 AM

いずれは雪がとけて、点々とした白のすきまから木の黒ぐろとした根元がさらされる、そのたびに、すべてが生きていると思う、食パンにジャムを塗る

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