ぺんぎん

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12/20/2022, 10:33:47 AM

燻られて、芳しい花の匂いをも殺して、きみはあっという間にすかすかの骨になった
待合室はひとりだった、身を少し捩ると腹が鳴いた、窪んだクッキーを齧っていた
冷たく煤けた骨を、つまんだ、憤りが喉を通り越し、腹に濾しだされた
髭をこしらえた顎もとは薄く濡れそぼり、ただ脳みそのノイズと身体の傾きを感じていた

12/20/2022, 7:10:02 AM

にきびを潰したあとみたいな、鈍い痛みを引き摺って生きるしかないのだと思った
せめて、うわべだけでも恋ができていた私の、純粋なよろこびから
少しでも苦みを濾しだすことができればよかったのにと、ぼやけた目を少し閉じた

12/18/2022, 8:04:27 AM

孕んだ金魚の腹を潰そうとする指は、水槽に生えた苔をなぞりぬめっていた
そんな度胸など持ち合わせていないくせに、腕の周りを靡く尾びれを千切りたかった
ポンプが、こいつらが生きているということを主張するみたいに泡を吐く
いくら行為を重ねても膨らまない細い腹、禍禍しいものが肉体すべてを包んでいる
手を挙げる、頭をもたげている感情が肥大する、思い切りわるく、金魚を掴んで落とした

12/16/2022, 10:13:12 AM

身体じゅうから熱が剥がれてくっつく音、穴だらけの頭痛薬
ホットココアの匂いがまとわりつくばかりの部屋着からは
あなたが罰を加えるように落としていった、季節の節々の跡が残っている

12/15/2022, 1:52:05 PM

振りほどいた腕と、足もとから融けていく雪はただ、冷たく靴下になだれ込む
下手な結露の落書きも途切れ途切れにあらわれた白い息も、もう見つめることはない
それでもわたしは、それらをまるごと綺麗だと笑った君の顔に、見とれていた記憶を
いまだに思い出せる喜びを残して、ただ胸に浮かべている

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