幾千もの瞬く星をぎゅうっと詰め込んだみたいな
ぱちんと弾けるような、びりびりと身体中があっつくて頭のなか壊れるくらいの
突然こっちを振りかえって、ふわりと笑った、ああ駄目だ
きゅうと心臓がひっこんだ、しゃがみこんだ
顔にあがった熱が治まりそうにないや
徐々に高まってくる、ああ好きになりすぎる
なんでもいいから、もうすぐ空っぽになる私のからからの体を、
愛とかいうやつで一杯にして欲しいんだ。
ああ、なんで今更こんな綺麗な涙が出てくるの。
綺麗なものを求める度に喉奥は水の泡を出す。苦しい、溺れていた。
好きで好きでたまらないのに、あっさり道化の振りをする私を嗤ってくれ。
快楽で誤魔化した毒々しい欠片ごと殴り付けてはくれないか。
ぷかぷか波の音とたゆたっていた、呑気でだらしなくて頼りない笑顔。
それでも欲しがった。純粋な愛情を。
さらさら、霧が降ってきたかのような繊細な雨粒が辺り一面に舞った
あまりにも優しすぎた音
ほどけて、空気と溶けていく
傘なんて要らないくらいだ、霞みがかったベール
ひたすらにはしゃいでいた
ぽわぽわ宙を確かに舞っていたような気がするんだ
力なく笑ったあなたを見た。ぴしゃりと身体の芯まで氷水をぶっかけられた気分だ。
ああ、それ以上を超えてしまった、紛れもない愛。元には戻れない。
どうして愛は、見ないふりをしようとしても、
薄ら笑いを張り付けて、振り切って捨ててしまおうとしても、
頭の片隅から降ってくるの、捨てきれないの。
愛はどうして私を真っ直ぐ見るの、なんで。
じんわり熱い胸の辺りをさすった。微熱をいったりきたり。
べっとりと心臓に塗りつけられた毒々しい私の醜いかけら。
好きだよ、多分まだ好きだよ。
ぴんと張った飛行機雲の白い輪郭、透き通った碧に溶け合っていく。
ああ、今日の空は痛々しいぐらいに美しい。
最愛のあの人は、泡沫の雨に混じって消えた。
都会の街並み、隈だらけの濁った瞳がショーウィンドウに映った。
ガラス張りのそこにいる自分には、なんにもない。
なんだろう、身体の奥深くの神経をするりと撫で上げられたような、気が、
汗がべっとりとよれたシャツに張り付いて滑り落ちた。
その途端に、自分の毒々しいものが全身から一気に抜けていった。
これは、だめだ。
ぐちゃぐちゃの脳はなにもかも真っ白で。
ふっと頭をもたげるような、緩い衝撃に耐えきれない。
朽ちている、おそらく今も。ざわざわと、人混みがくちゃっと歪んだ。
だめ、この瞬間、駄目だ、そう思った。
真っ青な空が、白と混ざってぼやけていく。泣いていた。
今泣いてしまえば、もう感情が止まれないことを知っている。
嗚咽をぐっと噛み殺せば、妙な吐き気がする、息の仕方が分からない。
心は既に空っぽになっていた。何を混ぜ混んでも、詰めても、塞がってはくれない。
くだらない喪失が、今頃自分を蝕んだ。