ぺんぎん

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1/28/2022, 10:16:57 AM

あの街へ行こう。
貴方がかつていた場所。
美しくて、何処か懐かしい。
恋しいの。
哀しいの。
愛しいの。

ごとごとと揺れる列車に乗った。
つぼみのままの花。雪融け前の街。
やんわり白い地面。いつまでも駆けて行きたいと思った。
一輪の花が風に揺れる。
黄色い花びらが一枚、風に凪いでいる。
ひんやりとした空。私も花びらと共に凪いだ。

1/26/2022, 11:15:21 AM

深夜。
どっぷりと闇色の絵の具に浸かったように真っ暗な藍色。
頬をやんわり生ぬるい風が撫で、視界をネオンが彩る。
東京は、いつになっても活気を増したまま。
今日は、確か渋谷辺りだったかな。
人通り。ばらばらにばらけて、夜を練り歩く人々。
その中の独り。銃口を向ける。 
人気の無い路地裏。人の群れは遠ざかっていく。

さよなら。

カラフルなネオンが身体を突き刺すように煌めく。
彼女は、うっすらと笑みを浮かべた。

さあ、夜はまだまだこれから。


『ミッドナイト』

1/25/2022, 10:05:01 AM

君といると、幸せだ。
ほっとするし、安心。
でも、この幸せはいつまでも続くとは限らない。
そう考えると、不安でたまらないや。
この天秤がゆらゆらしてるのは、君がいるから。

1/25/2022, 9:30:04 AM

今日はやけに悪天候らしい。
冷たい雨の音が、部屋中に充満する。
水槽に閉じ籠った熱帯魚に顔を寄せた。
色鮮やかで、毒々しい色。
なんて美しいの。
狭い檻の中で身を翻して、また戻る。
そんなに泳いだって、自由にはなれないのに。
誰かは言った。

水槽に差す光が、ゆらゆらと波紋を描いた。

突然、猛獣の呻き声みたいな音。
その途端、真っ暗な部屋が青白い光で満ちた。
びりびりと、全身が強張った。
ばらばらと、雨粒がガラスに張り付く。

水の中の熱帯魚が、逆光を浴びる。

真っ白な項がうっすら色を持つ。 
ただうっとりと、その色に翻弄されていた。

雨はまだ止まない。

1/22/2022, 10:36:38 AM

これは私の創りあげた幻想?

隣で横たわる貴方は私に返事をしてくれなかった。
過去に戻るなんてこと、しなければよかった。
ああ、あまりにも無力。
遠くでサイレンの音が聞こえる。
耳鳴りがする。不快で仕方がない。

未来なんて、そうそう変えられないのね。
へたへたと、冷たくなった貴方の側に座り込んだ。
温もりはなかった。
もう一度、やり直さないと。
完璧な未来を手にいれるまで。
もう何回目かしら。
彼女の願望をよそに、未来は歪んでゆくばかりだ。

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