「仲間になれなくて、 仲間になりたくて」
必死に人生をもがいていた
必死に人生をさがしていた
これでいいのか、ここじゃないのか
登山は、人生に例えられる。
歩く早さ、歩く距離、登り、下り、分岐点。そして、登山道ではない道。
僕の登山はソロ中心である。いわゆるボッチだ。
家族との経験もあったが、社会人になってからは、ボッチだ。
だから、仲間と山に行くのが羨ましい。一緒に景色に感動し、頂上での食事、食後のコーヒーと、もしかしたら頂上でウイスキーと洒落込めるかも。
だから、友が欲しかった。
山友が、出来ない理由は、簡単である。
単に誘えないからだ。
仕事に悪者になってもらうのは申し訳ないが、朝早く、夜遅く。休日の予定も立てられない。そんな仕事。
そんな僕に、予定を合わせる人も、合わせられる人もいない。
頑張って、山友ができた時があったが、やっぱり、予定が合わない。
一生に登ってくれた人にこう言われた。
「山仲間だね、また行こうね!」
僕の心の中に、いつもの言葉が浮かびあがった。
たぶん、仲間になれないだろう
必死に人生をもがいていた
必死に人生をさがしていた
これでいいのか、ここじゃないのか
いつか、人生を見つけられる様に
いつか、人生を変えられる様に
いつか、仲間と一緒にいられるように
僕は今日もひとりで登っている。
雨と君
「君が好きだ」
望む事が出来ない、100%叶う事の無い、そんな恋。
僕の数少ない趣味で、奇跡的に出会った恋。いや、恋と呼べるかもわからない。2000メートルの山の上での出来事は、全ての事象を感動に結びつける。
お互い景色に感動し、咲き乱れる高山植物に魅了され、そんな君に僕も魅了された。
一目惚れ?どうなのだろう。決しておしゃれな姿ではない。君は山メーカーの物を纏ってはいなかっただろうし、どこかで転んだんだろうと思う様な泥だらけの登山靴。ぐしゃぐしゃな髪で、日焼け止めの流れた跡もあった。
最初は知らない者同士だったけど、君の「大丈夫?」から始まった僕の恋。
思えば、雨だから君と出会えたのだろう。
思えば、雨だから君を好きになったのだろう。
雨露の滴る君が綺麗だ
泥だらけの道を笑顔で話す君が素敵だ
突然の雨、あの時、僕が転んでいなければ、君と話す機会も無かった。下山までの君との時間は一生の宝物。
でも宝物は出してはいけない。決して絡む事が望めないお互いの人生。
雨と君
雨降りの山は、いつも思い出すだろう
「君が好きだ」って