雨と君
「君が好きだ」
望む事が出来ない、100%叶う事の無い、そんな恋。
僕の数少ない趣味で、奇跡的に出会った恋。いや、恋と呼べるかもわからない。2000メートルの山の上での出来事は、全ての事象を感動に結びつける。
お互い景色に感動し、咲き乱れる高山植物に魅了され、そんな君に僕も魅了された。
一目惚れ?どうなのだろう。決しておしゃれな姿ではない。君は山メーカーの物を纏ってはいなかっただろうし、どこかで転んだんだろうと思う様な泥だらけの登山靴。ぐしゃぐしゃな髪で、日焼け止めの流れた跡もあった。
最初は知らない者同士だったけど、君の「大丈夫?」から始まった僕の恋。
思えば、雨だから君と出会えたのだろう。
思えば、雨だから君を好きになったのだろう。
雨露の滴る君が綺麗だ
泥だらけの道を笑顔で話す君が素敵だ
突然の雨、あの時、僕が転んでいなければ、君と話す機会も無かった。下山までの君との時間は一生の宝物。
でも宝物は出してはいけない。決して絡む事が望めないお互いの人生。
雨と君
雨降りの山は、いつも思い出すだろう
「君が好きだ」って
9/7/2025, 2:05:13 PM