ソング

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6/5/2024, 1:22:06 PM

私には誰にも言えない秘密がある。
それはついこの間のことだ。
雲ひとつない蒼い空の下、ツバメの雛が道路の真ん中に落ちていた。
まだ目も見えていないようで、私を母親と思ったようで「ピィピィ」と頭の重さをおぼつかないながらも支え力強く泣いた。
そんなツバメに情が湧いたのか、いつのまにか私はツバメを手に乗せ車通りの多い道路から巣の下まで運んでいた
良い行いをしたおかげか、その日の私はとても晴れやかな気分だった。

次の日、雛の様子が気になったので昨日と同じ場所に訪れた。
昨日のように力強い鳴き声は聞こえない。
ふと足元を見ると、そこには昨日移動させたツバメの雛が力無くうなだれていた。
きっと私が触ったことで人間の匂いがつき、親鳥から見捨てられたのだろう。
頭上から「ピィ」と声がした。
見上げれば、親鳥と目が合った。
流れる雲、消えた命、進み続ける時間。
どこまでも黒い瞳は、じっと私を見つめていた。

6/4/2024, 1:16:09 PM

初めての一人部屋
ベット二つ分の小さいお部屋
嬉しくて、嬉しくて
ドキドキが止まらない
でもね、お日様が眠ると
寂しくて、不安で
布団にくるまっても
ドキドキが止まらない
初めての一人部屋
ベット二つ分、私は一人

6/3/2024, 2:46:15 PM

今はもう小さくなった街に手をかざしながら考える。
あの人にとって私とは、これほどちっぽけな存在だったのだろうか。
白銀に染まる港も、教会から聞こえるノエルも、この寒さでさえも、今は色褪せて何も感じない。
あの人といた時には美しいと感じたあの日々も記憶も、今はただ胸を締め付ける凶器となってしまった。
ふと、痛いくらいに冷えた夜風から潮の香りが漂ってくる。
その方向へ顔を向けると、聖歌隊のように並ぶクラゲが何も考えずゆらゆらと揺れているのが見えた。
あぁ、これではまるで海の夜風にでさえ疎まれているようではないか。
だけど、もういい。私の描いてきた今日も、今は呪いのように縛りついて離れない日々も、全て波に乗せて攫ってくれそうな気がしたから。
私は靴と靴下を脱ぎ、刺すように冷たい水面に足をつける。
だんだんと潮は満ちていき、爪先から足首。足首から膝下と私を飲み込んでいった。
神の降誕を伝えた星も御業も、一欠片の希望でさえもないのならば……
きっと底はとても冷たいのだろう。
それでも、あのクラゲたちのように何も考えずあの人を忘れてしまえるのならばいっそ、光も通さず、眠りすらわからない水底へ沈んでしまおう。
これが、私からあの人へ贈る“クリスマスプレゼント“。
愛しい貴女、きっと幸せになって……そして幸せであって、生きていますように。