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私には誰にも言えない秘密がある。
それはついこの間のことだ。
雲ひとつない蒼い空の下、ツバメの雛が道路の真ん中に落ちていた。
まだ目も見えていないようで、私を母親と思ったようで「ピィピィ」と頭の重さをおぼつかないながらも支え力強く泣いた。
そんなツバメに情が湧いたのか、いつのまにか私はツバメを手に乗せ車通りの多い道路から巣の下まで運んでいた
良い行いをしたおかげか、その日の私はとても晴れやかな気分だった。

次の日、雛の様子が気になったので昨日と同じ場所に訪れた。
昨日のように力強い鳴き声は聞こえない。
ふと足元を見ると、そこには昨日移動させたツバメの雛が力無くうなだれていた。
きっと私が触ったことで人間の匂いがつき、親鳥から見捨てられたのだろう。
頭上から「ピィ」と声がした。
見上げれば、親鳥と目が合った。
流れる雲、消えた命、進み続ける時間。
どこまでも黒い瞳は、じっと私を見つめていた。

6/5/2024, 1:22:06 PM