#12「無色の世界」
僕の心の中は空っぽだった
目標もなければ夢もない
逆に言えば何色にでも染ることが出来る
今はなくてもやりたいことがきっと見つかる
今はよく分からない「やりたいこと」を探す旅に出るのが僕らの航海
航海するなかで見つけた時、その色に染まれる
僕は今はまだ無色の世界にそれを求める
無色から有色へ
#11「桜散る」
ある桜の満開の日。
ある学校で入学式が行われていた。
そこには花も自分の1部だと思わせるような魅力的な女性がいた。
彼女は綺麗な茶髪の髪を腰まで下ろし、風になびかせていた。
髪が揺れるのと同時に桜が散り、映画のようだった。
そんな女性に僕は見惚れていた。
#10「ここではない、どこかで」
-休日の中学の校舎-
僕はここの数年前の卒業生
今日は文化祭ということもあり、一般公開されている
僕はある景色を見るために訪れた
この辺りでは街を見渡すには1番いい場所である
先生からその場所へ行くための許可を取った
普段は進入禁止だが、先生に話を通してあるので許可が降りたのだ
建物の最上階へ向かう
そう、屋上だ
誰もいないはずの屋上には1人の少女がいた
顔は見えなかったが、僕はその少女が誰か分かってしまった
僕のことを/が1番よく知っている彼女…
そしてこの場所は初めて彼女と出会った思い出の場所でもある
「どうして君がここに…」
せめてここではない、どこかで会えればよかったのに
#9「届かぬ想い」
同じクラスの女の子が可愛いと思った
新しくVTuberとして活動した女の子
でも同担拒否をしてしまう
古参なんだよって自慢したい気持ちと
有名になるなって、俺のものにしたいと
自分勝手な気持ちと、ファンとしての気持ち
複雑すぎて苦しくて
君は、僕のことを好きになってくれますか?
君は、僕のことを愛してくれますか?
君は、僕のことを…どう、思っていますか?
君は、僕と…一緒に歩んで、くれますか?
僕は……ずっと貴女が好きでした
でも僕の想いは小さくて、彼女には届かなかった
#8「神様へ」
ある日の放課後、隣の席の杏ちゃんが話しかけてきた
「ねぇらんー、藍は神様、信じてる?」
唐突な質問だった
「半分なら信じてるよ」
通っていた学校はきっと、僕の実力だけじゃ入学をすることができなかったからだ
「藍、神様を半分信じてたんだ!?((((;゚Д゚))))」
助けが欲しい時に助けてくれない、なんてこともあるので本当に半分なのだ
「じゃあ藍は神様が何か一つ叶えてくれるとしたら、なにをお願いするの?」
今度は真剣な顔で聞いてきた
「僕は……好きな人と結ばれますように、かな(´•ᴗ•;ก)」
「藍に好きな人いたんね!?」
さっきから失礼な(笑)
「悪かったな!(汗)……神様への手紙を書きたいな」
昔、恋をしていた女の子のことをバラすわけにもいかぬ…と覚悟を決めていたが
「その恋、叶うといいね。応援してる」
なにか聞き出そうとするのではなく、杏ちゃんはいたずらっぽく笑っていた