遠い足音
なかなか聞こえて来ない…今日も忙しいのかな…
窓の向こう側は、綺麗な茜色から、群青色に変わり、夜の帳が降り始めて来ている…
なのに、あの人の足音が聞こえて来ない…近所の人の足音ばかりが、響いている…
テーブルの上には、夕食の準備もしているのに…さっき点けた灯りが、白々と照らしている向かい合った食器が、なんだか、よそよそしい…
本当は、わかってる…あなたの足音が、聞こえ無いこと…屹度あなたは、私の事を憶えてなんていないだろう…でも、それでも、このテーブルで、向かい会う姿を妄想している…だから…聞こえない足音を待ち続けて…
秋の訪れ
公園の一角にある雑木林に行ってみると、毬栗や団栗が何処そこ落ちている…
昼間は、まだ残暑も厳しく、夏日の様な気温の日もある…
でも、朝晩は、だいぶ涼しくなってきた…夏の残像も、段々と透明になりつつある…
風も涼しくなり、何処か寂寥を帯びて来ているように感じる…秋の、鮮やかな色彩の中に、哀愁を秘めたこの感覚…秋は…
旅は続く
終着駅は何処になるんだろう…私の乗った、専用の人生って言う名の機関車…
気が付いた時には、もう出発していて、乗り換えなんて効かない…途中下車も、何度となく試みたけれど出来なくて…
周りの列車は、快速や超特急ばかりで、私の機関車は、どんどん置いてけぼりになってしまう…他人の後ろ姿を遠くに見ながら、ポンコツを騙し騙し進めるしかなくて…
それでも、まだ、終着駅迄の距離が見えない…目の前には、靄がかかり、見通しが効かないから…
モノクロ
机の上の写真立てにある、古い写真…モノクロで、陽にあたり、色褪せて、余計に時の過ぎた事を感じさせる…
古い木造校舎の前で、皆んなで撮った卒業式後の送迎会のスナップ…
密かに想いを寄せていた君は、ちょっと緊張気味で、張り付いた笑顔…結局、あれから、一度も会う事もなくて…
今は、何処でどうしているのか、何も分からない…多分、幸せな家庭を築いて、穏やかに過ごしているだろう…
もしも、その相方が、わたしだったなら…そう叶わない想いを、未だに引きずっている…
永遠なんて、ないけれど
この世の中、ずっと変わらないことなんて無いこと、ちゃんと分かっている…街並みも、段々変わっているし、自分だって、年をとって、子供の頃とは、だいぶ変わってしまっている…
古典で習った、方丈記や奥の細道等でも、変わる営みや、栄枯盛衰も今なら、はっきり分かる…
けど、あなたとの出逢いは、永遠だって信じたい…いつか、どちらかが、終の日を迎えるその一瞬迄、永遠に同じ道を歩んでいると、信じたい…
屹度、あなたとわたしは、出逢う運命で、同じ時間を歩むパートナーだって、信じている…