フラワー
青空に誘われて、散歩に出かけた…近所の駐車場には 桜並木が続き、その向こうには、辛夷の花が咲いている…歩道には、点々と黄色の菜の花が春風に揺れて、椿も、艶やかに咲いている…一気に春の景色に生まれ変わり、モノクロな世界が、どんどん色付いて行く…
この、春の到来は、何処か甘美で、艶やかに身を包む…この青空と、彩色溢れる花の饗宴は、毎年だけれど、ぐっと心を掴んで来る
新しい地図
何処を通れば、辿り着くのか…行き先は、解っているのに、どのルートがいいのか…スタート地点とゴールを結ぶ幾通りもある通り道…それぞれに優劣があるから、簡単には決められない…
新しい地図には、正しいルートなんて記されて居なくて、それを書き込むのは、私しか出来ない…
好きだよ
子供の頃は、何でも素直に言えたのに、段々言えなくなってきた…
ずっと昔から一緒に過ごしてきた君に、素直な気持ちが伝えられない…
気がついた時には、もう幼馴染みじゃなくて、1人の異性として、好きになっていた…ずっと同じ時間を過ごしてきて、これから先も、同じ未来を過ごすと思っていたのに、少しずつ、違う道を歩んでいた…其れが、とてつもなく淋しくて、君が幼馴染み以上の特別な存在だって気がついた…それから、何度も言葉にならない思いを 募らせて…たった一言なのに…
桜
寒い冬が漸く和らぎ、昼間は、随分暖かくなり、桜の便りも届き始め…
開き始めた桜の花が、寒の戻りで、半開きの日々が続く…君と見ようと約束しているのに、なかなか咲ききらない…
君の艷やかな黒髪と、薄紅色の桜の花が、楽しめないのが口惜しい…
春の気まぐれな装いに、桜を早くと、つい急かしてしまう…
君と
桜並道を歩くのは、君がいい…そんなふうにずっと、そう思っていた…
春風に揺れる桜の花が、時々花びらを零し乍ら、君と僕を見守っている…
ヒラヒラと舞う一片が、君の髪に飛んできた…手を伸ばして、そっと取って君の手のひらに渡した…小さく微笑う君が少し眩しくて…ただ、それだけの事でも、心の中がくすぐったい…この一コマが、永遠に続けばいいのに…